テイクオフを控えた機内にお決まりの内容とは異なる機長のアナウンスが流れた。しかも搭乗者の個人名が示され、“smuggle(密輸送)”というあってはならない言葉まで。緊張が走る機内の誰もが「離陸が大幅に遅延か」とイヤな予感を抱いた。しかしそれはある女性搭乗者に協力した乗務員らによるサプライズ作戦。アナウンスの終了とともに機内にはハッピーな拍手と声援が沸き起こったという。
フロリダ州のメディア『WTSP-TV』が報じたところによれば、普段聞くことのない不思議なアナウンスが流れたのは同州タンパからイリノイ州シカゴに向かう飛行機の機内。それは搭乗者のひとり、サウスタンパ在住のオードリー・ローズさんがクルーに宛てた“お願いがあります”という手紙が発端であった。夫に続いて搭乗し、以下のように書かれた手紙を乗務員にそっと渡していたオードリーさん。機長がその内容を読んで承諾し、さらに知恵を働かせてくれたのである。
“親愛なるクルーの皆様 とても大きなお願い事があります。妊娠していることがわかったばかりなのですが、夫にはそれをサプライズとともに伝えてみたいのです。テイクオフ直前のアナウンスの際に私の妊娠を彼に告げて頂くことはできますか。もしもそうして頂けるのなら本当に嬉しく思います。夫の名前はデヴィッド・ローズ、28Eに座っています。可能な場合はちょっとしたサインで知らせて下さい。彼の様子を録画してみたいと思っています。”
最後に“もちろん無理なことは承知しています。可能であればで結構です”と添えたオードリーさん。2度にわたり妊娠検査薬で陽性判定が出たため妊娠は間違いなかった。客室乗務員はオードリーさんにそっと親指を立てて作戦の実現を教えると、彼女はワクワクしながら夫デヴィッドさんの表情を収めるべく録画をスタートさせた。Facebookに投稿したかったのだという。
間もなく離陸に入ることを知らせる機長のアナウンスが始まった。ところがそれは何やらアクシデントが起きたことを告げるもので、