レバノン北部トリポリで先週、キリスト教を侮辱したイスラム教徒の少年3人(16歳~18歳)に対する裁判が行われた。モザイク国家であるレバノンでは、他宗教に対するこうした行為には厳しい処罰が下されるのが一般的である。だが判決で少年らに言い渡されたのは、イスラム教の聖典コーランにある「聖母マリアとイエス・キリストを称賛する内容の章を暗記するように」というものであった。
レバノンは全人口の約6割がイスラム教徒、約4割がキリスト教徒であり、さらに国内には18もの宗派が存在するモザイク国家である。そのため議会における議席数は各宗教それぞれ同数と決められるなど、宗教的な偏りが生じないように微妙なバランスの上で国政が敷かれている。
他宗教に対し慎重な配慮を要するのは、政治だけではなく一般の生活においても同様である。そのため少年3人には、本来なら禁固刑あるいは罰金などの厳しい刑が言い渡されてもおかしくはない状況であった。だがニュースサイト『Al Arabiya』によると、今回の裁判を担当したジョセリーヌ・マッタ(Joceline Matta)裁判長が言い渡したのは、そうした実刑ではなく「コーランの第3番目の章(スーラ)である『イムラーン家(アーリ・イムラーン)』を暗記すること」を条件に彼らを釈放するというものであった。
長年にわたるキリスト教とイスラム教の確執を考えるとにわかには信じ難いが、