「過去25年間でこのような酷い状態は見たことがない」と医師らが口にしたほど、生後9か月の女児は“最悪のケース”とされるC群髄膜炎菌に感染した。しかし四肢切断という過酷な状況に耐えながらも、幼い女児は小さな体で驚くほどの強さを発揮し病と闘い続けた。そしてようやく退院の目途も立ち、家族は希望とともに新年を迎えることとなった。英メディア『real fix』『Gloucestershire Live』『Mirror』などが伝えている。
ウェスト・ヨークシャー州ワイクに住むヴィッキー・ミッチェルさん(30歳)とポール・ゴットさん(35歳)の末娘カイアちゃん(1歳)に異変が起こったのは、昨年9月23日のことだった。
高熱を出し具合が悪かったカイアちゃんを寝かしつけた両親が、夜中に酷くむせながら苦しそうに息をするのを聞き、部屋に行くとすでにカイアちゃんの顔や首、胸など至る所に紫色の痣ができていた。夫妻はすぐにそれが髄膜炎の症状の一つであることを察し、直ちに救急車を呼んだ。救急車内での処置に続き、搬送先のブラッドフォード・ロイヤル・インファーマリーでも緊急処置が施されたが、カイアちゃんの両腕や両脚は黒く変化しており、翌24日に両親は改めてカイアちゃんがC群髄膜炎菌に感染したことを告げられた。この細菌は10人に1人の割合で咽頭部に存在する無害のものだが、こじれると熱や頭痛、吐き気など風邪に似た症状を引き起こし、一旦血流に乗って髄膜まで至ると命を脅かす症状になり、早急に処置を要する。
医師らは、カイアちゃんの症状が「過去25年間でも見たことがない」というほど最悪のケースの一つとし、ポールさんとヴィッキーさんは「助からない可能性もある」という告知を受けた。さらに四肢切断手術の前に行われたMRIで、脳の90%がダメージを受けており、ほぼ間違いなく視覚・聴覚障がいがあること、自分で動くことはできないであろうことも告げられた夫妻は、悲しみのどん底に突き落とされた。
その後、四肢切断を余儀なくされたカイアちゃんは、10月19日の最初の切断手術から計4回、身体の負担が減るように10日間の間隔を置いて手術が行われ、右腕は肘から先、左腕は手首から先、そして左脚は膝上から下、右脚は大腿部真ん中から先をそれぞれ切断した。最初の2回の切断手術は順調にいったが、残りの2回の手術後は容体が優れず肺感染症を起こし、腎臓にも問題が見られたため透析を受け、さらには2度の輸血を必要としたという。また最後の切断手術後、カイアちゃんは1週間の昏睡状態に陥った。ヴィッキーさんはそんな苦悩の日々をこのように語った。
「いつも崖っぷちに立たされている気分でした。次に何が起こるのか全く予想できない状態の中で、医師からは次々とネガティブな告知を聞かされました。現実を見なければならないと分かっていても、親としては我が子への希望を捨てたくはないのです。」
カイアちゃんが入院して以来、