「自分はどこも悪いところなんかない」―そんな思い込みに支配されてしまうのが摂食障害の恐ろしさだ。このほど15歳の頃から拒食症を患っていたイギリスの女性が、病と闘い克服したことを自身のインスタグラムに投稿した。英メディア『The Independent』『Mirror』『The Sun』などが伝えている。
ウェスト・ヨークシャーのハダースフィールドに住むエメル・ルイスさん(22歳)に摂食障害が始まったのは、15歳の頃からだった。「周りの友達には次々とボーイフレンドができるのに自分にはできない。きっと私が太くて醜いから…」そう思い込んだエメルさんは、ジム通いをして減量を試みた。しかし数か月経っても成果が得られなかったため、無理やり嘔吐することを始めた。同時に果物や野菜、全粒粉シリアル、フムス、米菓子など毎日同じものを食べ続けた。
そして骨と皮だけになったエメルさんは体重31.7kgにまで落ち、子供用の服を着て過ごした。これまでに7回も入院し、周りが心配するも「私はどこも悪くなんかない。体重だってコントロールできるし、普通の生活もできる」と信じ込み、治療を拒否していたという。さらに「周りの人は私の人生を台無しにしようとしている」と被害妄想まで抱くようになり、摂食障害から抜け出したくないとひたすら思っていた。
エメルさんは自身の細い体をどうにか支えてはいたものの、日々痛みを感じるほどの激しい寒さに襲われた。それでも厳しい食事制限や一日2回の犬の散歩、朝はヨガや腹部のトレーニングに励んだ。また、カロリーを消費する目的で毎日夕方4時までは一切座ろうとしなかった。
ところが今から1年と少し前、ベッドに横たわっていたエメルさんは弱っていく自分の体を冷静に受け止め「あぁ、私は死ぬんだな」と思ったそうだ。
「人生で何も達成していないまま、このまま終わりを迎えるのは嫌だ。」
エメルさんの心に、スイッチが入ったのはその時だった。その後はインスタグラムで拒食症を克服した女性たちのアカウントをフォローし始め、励まされたエメルさんは「死にたくない。だから闘わなきゃ」と感じるようになった。
「拒食症の怖いところは、自分は病気じゃないと思い込んでしまうことです。当時の私は拒食症を克服することなど考えてもいなかったし、克服という言葉さえ口にすることができませんでした。摂食障害のワナに落ち、自分を見失っていたんです。」
克服することを決意したものの、最初は本当にできるだろうかという不安があった。「体重をコントロールするトレーニングを始めたい」と母親に相談すると、いつも「きっと拒食症から克服できる」とサポートし続けてくれた母は複数のパーソナルトレーナーに電話し、適切な人物を見つけようとしてくれた。
一方で父親や精神科医らは「できないのではないか」と半信半疑だったが、「自分ができるということを周りに証明しなければ」とエメルさんの決意は揺らぐことがなかった。その成果が実を結び、