いったん「死刑」を言い渡された囚人がそれを免れるなど、冤罪が判明した時以外はあり得ないと考えてしまうが、実はそうでもないようだ。このほど米オハイオ州から思わぬ理由で死刑執行を免れた囚人の話題が飛びこんできた。
それぞれの州ごとに死刑執行の方法が定められているアメリカ。現在6割強の州で採用されているのが静脈から致死量の薬物(複数種類の場合も)を注入する方法で、このたびの珍事が報じられたオハイオ州もそのひとつ。眠りに落ちて呼吸が停止し、続いて心臓が停止するまでを見届けるものである。また有名な電気イス、絞首刑、ガス室、銃殺刑は「さらなるオプションが必要となった時」に検討される方法で、これまた州ごとに異なっているようだ。
そんななか、15日午前に死刑が執行されるはずであったアルヴァ・キャンベルという男の受刑者が命拾いしていたことを、オハイオ州のメディア『WKYC.com』が伝えた。キャンベルは前立腺がん、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎と健康上の深刻な問題をいくつも抱え、股関節置換術も受けて現在は一日4回の酸素療法が必要だと訴えている身。死刑執行の現場には呼吸不全を緩和させるための特殊な形をした枕も用意されるなど万全の態勢がとられたが、執行を担当する医療チームは30分間かけてもキャンベルの皮膚表面から静脈を探し出せず、その後に執行は不可能と判断されたという。