9月9日、南アフリカ北西州ポチェフストロームでクロスカントリー・クラブ・チャンピオンシップが行われた。舗装された道路だけでなく野山を走り抜けるクロスカントリーは、南アフリカでは学校でもクラブ活動として行われているほど人気のスポーツだ。 全国から強豪が集まったこの日の大会では、優勝を狙っていた16歳少年がゴール直前で倒れるというハプニングが起こった。誰もが彼を追い抜いていく中、ひとりの少年が立ち止まったのだ。『News24』が伝えている。
プレトリアに住む16歳のエムポー・ミッチェル君(Mpho Mitchell)は、“クロスカントリー6キロ・16歳以下の部”で優勝を狙えるほどの実力の持ち主である。しかし9日の大会では、ゴール直前150メートルのところで厳しい暑さにやられ倒れこんでしまった。
競技のうえでは結果が全てである。他の選手は自分の記録のために次々とミッチェル君を追い抜いていったが、ひとりの少年が立ち止まった。ラステンバーグに住むローネン・ウーストハイゼン君(Ronen Oosthuizen、17)だ。彼もはじめはミッチェル君を横目に通り過ぎたが、すぐに戻ってくると彼を抱えて150メートル先のゴールを目指した。
ゴール目前で自分のレースを諦めミッチェル君に手を差し伸べたウーストハイゼン君の姿に、応援していた観客からは拍手が沸き起こった。2人は支え合いながら23分55秒でゴールし、ミッチェル君は16歳以下の部で68位、ウーストハイゼン君は17歳以下の部で85位となった。
ミッチェル君のコーチであるスティーブ・ママセディさんはレース後、「選手たちには助けあうことを教えている。これが将来、この国のあるべき姿だ」とウーストハイゼン君の行動を褒め称えた。