「私たちは子供が大好き。家族は多いほうが楽しい…」米ユタ州スパニッシュ・フォークに住むジェイソンさん(32歳)とクラリッサ・オズボーンさん(28歳)夫妻に2013年、長男カーター君(4歳)が生まれた。出産後すぐ脳腫瘍が見つかったクラリッサさんは放射線療法により自然妊娠ができなくなったが2016年、人工授精により長女シャナちゃんを授かった。しかしシャナちゃんは先天性心疾患を患っており、生後2か月半で亡くなってしまう。
「子供なしの人生は味気ない。できればたくさん子供が欲しい」そう願うオズボーン夫妻にとって、突然訪れた長女の死を受け入れることは難しかった。夫のジェイソンさんは当時のことを次のように語った。
「悪夢でした。産まれてすぐ心臓の手術をして退院することができたのに、ある朝起きたら息をしていないんです。必死でCPR(心肺蘇生法)をしましたがシャナが息を吹き返すことはありませんでした。その朝のことが頭から離れず、本当につらかった…。病院から帰宅する時、クラリッサに駐車場でこう言われたのを覚えています。『我が家はシャナの物で溢れているのに、あの子はいなくなってしまった。家に帰ることなんてできないわ』とね。」
それから6か月後、不妊治療の甲斐あってクラリッサさんは再び赤ちゃんを妊娠した。授かったのは4人の女の子で、夫婦は思いがけないニュースに飛び上がって喜んだ。クラリッサさんは3回目の妊娠についてこう振り返っている。
「一度に4人も授かるなんて、妊娠を知った時は嬉しくて涙が止まりませんでした。それからはSNSを利用して多胎児の情報を収集し、友人や家族と“ベビーシャワー”もしました。新生児用のベッドを4つ、椅子もベビーカーもチャイルドシートも全て4つずつ用意し、粉ミルクやオムツも買い揃えて4つ子の誕生に備えました。」
しかし6月11日、オズボーン夫妻をまたも悲劇が襲った。クラリッサさんは妊娠23週目で産気づき、病院で緊急帝王切開が行われた。赤ちゃんは4人とも1ポンド(453グラム)以下という超低出生体重児として誕生し、全員が3日も持たずに次々と亡くなってしまったのだ。
「なぜ1人だけでも助からなかったのだろう。なぜまた私たちの赤ちゃんが…」夫妻は11か月の間に5人の娘を失った。朝、目覚めると一番に考えるのは娘たちのことで暗くて長いトンネルを抜け出すのは容易ではなかったようだ。しかしそんな夫妻を救ったのは、家族や友人、そして近所の住民だった。