カウンターでチェックインの手続きをするか、自動チェックイン機を利用するか、はたまたオンライン・チェックインをするかは人それぞれだが、いずれにせよ飛行機に乗るには絶対に「搭乗券」が必要である。それを持たずに飛行機に乗り込もうとするとどうなるか…。このほど中国の空港である親子が騒動を繰り広げ、フライトに5時間もの遅延が発生した。世界の人々には「世間知らずで身勝手な」と映る彼らのその行動。しかし、それが初めての空の旅とあれば強く責めるわけにもいかない理由がこの国にはあったようだ。
16日、日曜日の午前中とあってたくさんの家族連れでどこも大混雑となっていた北京の空港。チェックインカウンターもセキュリティチェックポイントも、そしてボーディングゲートも手続きに追われる地上職員はてんてこ舞いというなか、吉祥航空(Juneyao Airlines 本社:上海市)のフライトで上海に飛ぼうとしていたあるファミリーは“すんなりと”その飛行機に乗り込んだという。
ところが離陸の寸前に搭乗者について再度の確認を行っていた客室乗務員が、連絡を受けていた人数より1名搭乗者が多いことに気づいた。これによりすべての搭乗者が降機となり、該当する家族がはじき出されるとほかの搭乗者は再びのセキュリティチェックを経て同機に戻って行った。そして悪天候も加わったことからフライトには約5時間もの遅延が発生したのだ。
別室に連行されたのは両親2名とその子供3名。最も幼い女児が4歳でありながら搭乗券を持っていないことが判明したが、両親は「この子は身長120センチにも満たない。航空券なんて必要ないと思った」と釈明したという。実は中国の路線バス、鉄道、観光地などにおいて「大人料金/子供料金/無料」と3つに分ける際の基準は身長で、120~150センチが子供料金となるケースが多い。そのため、この両親には空の旅に関する甚だしい認識不足があったものの航空券購入にかかわる不正行為があったとは考えにくいとして、中国民用航空局は彼らに対する起訴などは検討していないという。