そこはトレビの泉でも池でも賽銭箱でもない、一基で何億円とする飛行機のエンジンである。しかも鳥を吸い込んでトラブルが起きる“バードストライク”の怖さを知らないのであろうか。このほど中国の空港で高齢の女が飛行機のエンジンに向かってコインをわざと投げ入れた。愚行というにはあまりにも罪深いその行為のせいで、大勢の人々が大変な迷惑をこうむったもようだ。
英メディア『The Telegraph』などが伝えたところによれば、飛行機のエンジンに向かってコインが投げこまれるというアクシデントが発生したのは、中国・上海の東の玄関口と呼ばれる「上海浦東国際空港」で27日のこと。広州市(広東省)行き南方航空CZ380便についてタラップでの搭乗が始まったところ、80歳の女が飛行機のエンジンに向かっていきなり9枚のコインを投げた。8枚は的を外れたが1枚がエンジンの中に吸い込まれた。
同空港の警察がすぐにこの女の身柄を拘束したが、取り調べに対しては「コインを投げ入れると幸運になると思って」などと話したという。その間エンジンの内部には複数の整備士が入り、コインの撤去と安全確認の作業に追われた。その後に飛行機は目的地に向け離陸したが、すでに乗りこんだ飛行機からの降機を余儀なくされ、フライトにも数時間の遅延が発生したことから約150名の乗客の怒りは相当なものだったもよう。なお“Qiu”と名乗るこの女には、夫と娘夫婦が同行していたと『北京青年報(Beijing Youth Daily)』が伝えている。