生き地獄とはこのことであろう。連日続くシリアでの騒乱は多くの命を奪い続けている。2015年、トルコの海岸に打ち上げられたシリア難民の3歳男児の遺体は世界中の人々の涙を誘った。また昨年、アレッポが攻撃を受けた際に爆撃を受け家を失い、救急車の中で血まみれになったまま呆然としている男児の姿にも世間は衝撃を受けた。このような悲惨な光景が今もシリアでは続いている。そして4月15日にも、アレッポ近辺で避難民を乗せたバスが爆破され126人が死亡した。この現場に偶然居合わせた1人の若きカメラマンが、撮影を中断し人命救助に走ったことが米『CNN』など複数メディアで報じられた。
4月15日、シリア北西部のフアアとカフラヤに向かうため避難民を乗せたバスが、車に乗った自爆テロ犯によりアレッポ近郊で爆破された。
偶然現場で仕事中だった写真家で活動家のアブド・アルカディル・ハバクさん(Abd Alkader Habak)は爆破音がした瞬間、その突風に吹き飛ばされた。
「子供たちが悲嘆の声をあげて死んでいく姿は本当に恐ろしいものです」とハバクさんは『CNN』のインタビューで語っている。ハバクさんと同僚のカメラマンのムハマド・アルラジブさん(Muhammad Alrageb)は爆破されたバスに走った。しかし彼らがすぐに行ったのは、現場でカメラを構えることではなく人命救助だった。