ワシントン州レイクウッド在住のクリスシー・マリーさんはその朝、戸口に挟んであった見知らぬ少年からの手紙を見て心を動かされた。1枚のキャンパスノートには5ドル札が織り込まれており、次のように書かれていた。
「ごめんなさい。僕と妹はあなたのウインドチャイム(西洋風鈴)を盗みました。僕たちの母が死んでしまったのです。母はバタフライ(蝶)が好きだったので、僕の妹は(バタフライが付いた)ウインドチャイムを盗んで、家の窓に吊るしました。僕が持っているお金はこれしかありません。どうか怒らないでください。」
クリスシーさんは5歳の時に母親を、6年前には父を亡くしており、この少年の気持ちが痛いほどわかった。そしてジェイク君をなんとか見つけ出したいとFacebookにこの手紙を投稿し、こう綴った。
「彼らがウインドチャイムを盗んだことを責めるつもりはありません。むしろお金は返してあげたいのです。私はバタフライのウインドチャイムを3つ持っているので、ジェイク君にその1つをプレゼントしたいのです。そうしたら兄妹2人とも、お母さんの思い出のバタフライをそばに置いておけるでしょう。」
クリスシーさんの投稿は思わぬ反響を呼んだが、それは必ずしも好意的なものばかりではなかった。クリスシーさんは『q13fox.com』に「盗みはいけないことです。でもそれを償おうとジェイク君が手紙を書いてきたことは立派なことだと思うのです。きっと彼は妹を傷つけたくなくて、ウインドチャイムを私に戻すことはせずにお金を添えてくれたのだと思います」と語ると、このように続けた。
「私は“人を赦す”ことは大切なことであると教えられて育ちました。だから人に何と言われようと、ジェイク君を捜し出したいのです。」
現在クリスシーさんのFacebookはプライベート設定に変更されているが、今月9日にクリスシーさんはジェイク君の家族と連絡を取ることができたようだ。クリスシーさんは「今はまだ悲しみでいっぱいで彼らには時間が必要なようです。でも近いうちに会う約束をすることができました」とコメントしている。
メールやSNSで簡単にコミュニケーションが取れるようになった現代においても、直筆の手紙には書き手の気持ちを素直に伝える特別な力があるのだろうか。中国では昨年の12月、出稼ぎに出る息子に1枚の手紙とお小遣いを鞄の中に忍ばせて送り出した母親の愛に多くの人が感動の涙を流した。また米ワシントン州では2015年、捨て猫のそばに子供の字で「温かい愛情をいっぱい注いでくれるおうちが必要です」と書かれたメッセージが見つかり、なんともいじらしいと話題になっていた。
出典:http://www.king5.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)