お笑いコンビ・カラテカの矢部太郎がいつになく二枚目風な顔で「清酒タクシードライバー」とツイートしたそのお酒をご存知だろうか。フォロワーから「ジョディ・フォスターは何処?」と反応があるように、映画『タクシードライバー』が好きな人々によって生まれた地酒である。カラテカ矢部がこうしておすすめしたのは、その人気に至る魅力的な経緯が手伝ったのではないだろうか。
“タクシードライバー”は岩手県・喜久盛酒造の5代目蔵元、藤村卓也さんが2005年に立ち上げた新しい銘柄で、デザイナーの高橋ヨシキさんが命名した。2人は大の映画好きなのだ。1894年(明治27年)より代々続く喜久盛酒造の新銘柄は好評で売れ行きも上々だった。ところが、2011年3月11日に起きた東日本大震災によって喜久盛酒造も半壊となり酒造りが行えなくなる。しかも、内陸部で補助金が下りないエリアだったため自社の力で復興を目指すしかない。
その頃、花巻市にある酒蔵の蔵元が亡くなられた。蔵元家族の「廃業しても蔵を残したい」という思いと藤村卓也さんの“タクシードライバー”で復興を進めたいという願いが合わさって廃業した蔵を借りて酒造りすることになる。地元のお米「かけはし」で造られた“タクシードライバー”はユニークな名前と力強い味わいで首都圏でもファンが多い。またレスリング経験者でプロレスファンの藤村さんは、上京していた頃に総合格闘技『RINGS』アマチュアリングストーナメント60kg級で準優勝して前田日明からトロフィーを受け取ったこともある。さらに東京でゲームプランナーとして活躍していたことから新銘柄は各界から注目された。
6月12日、カラテカ矢部が『矢部太郎 TARO YABE カラテカ(tarouyabe)ツイッター』で「清酒タクシードライバー」とつぶやいたのを見て、記者はふと同日朝の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で松本人志が口にした言葉を思い出した。“「盗んだバイクで走り出す」と歌うCM曲が犯罪を助長する?”という話題で、松本が中条きよしのヒット曲『うそ』に「あんまり飲んではいけない」「帰りの車も気をつけて」という趣旨が歌われることを例にして「そんなん、いっぱいありましたよ」と指摘していた。一瞬でもそれと結びつけたことが申し訳ないほど“タクシードライバー”には素敵なエピソードがあったのだ。
出典:https://twitter.com/tarouyabe
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)