スペシャルドラマ『赤めだか』では、二宮和也とビートたけしをはじめ周りを固めるキャストの演技が見る者を引き込んだ。そんな俳優陣を支えたのが、時代にこだわったセットやBGMにも光るものがあった。それぞれの場面から関わった人々が情熱を込めて作り上げたものだと伝わる、最後まで隙の無い傑作と言えるだろう。
立川談春の原作エッセイを実写化したTBS系年末ドラマ特別企画『赤めだか』が12月28日に放送された。「立川錦之助」の高座名を持つビートたけしの立川談志に捧げるような熱演と、思いついて談志の門を叩いた若き立川談春の心の動きを絶妙に表現する二宮和也。兄弟子・立川志の輔役の香川照之や弟弟子・立川志らくを演じた濱田岳など演者全員から作品に対する愛が感じられるドラマだった。
談春の母親役を北野武作品でおなじみ岸本加世子が好演すれば、父親には頑固そうな役がぴったりな寺島進を起用。ドラマ『流星の絆』の父子が思い出されて懐かしい。築地の魚河岸の女将役・坂井真紀や寿司屋の大将役・さだまさし、タクシー運転手役・木村祐一に取り立て屋役・山内圭哉など脇役もそれぞれの立場に意味があり、それを演じきった。
立川談志の自宅から、当時のTBSで弟子達が二ツ目になるため師匠に落語を聞いてもらう試験会場など、細かいところまで時代を意識したものになっていた。それとともに劇中に引き込んだのがBGMである。「ビートルズ」や「ローリング・ストーンズ」といった洋楽や「ザ・ブルーハーツ」、「RCサクセション」、「玉置浩二」、「桑田佳祐」などの邦楽が要所で効果的に流れる。当時の談春が憧れた女優・薬師丸ひろ子がナレーションを務めたのも微笑ましい演出だ。
12月24日に完成披露特別試写会まで開催される力の入れようで、二宮和也は「見ないと絶対損をする」と自信を覗かせていたが、放送を見るとそれだけの大作だと納得できた。スペシャルドラマ『赤めだか』は2016年3月9日(水)にBlu-ray&DVDの発売が決定している。
※画像は『twitter.com/akamedaka_tbs』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)