辻仁成がパリの同時多発テロを知り、日本での仕事を終えて厳戒となったパリの自宅へ急いだ。彼はパリにいた息子の十斗(じゅうと)くんと無事に会えてホッとしたことをツイッターでつぶやいた。そして、目に入ってきたパリの現状を生々しく伝えている。
パリで同時多発テロが起きた11月13日、辻仁成は京都にいた。14日に京都造形芸術大学で最後の授業を行うためだ。彼は『辻仁成(TsujiHitonari)ツイッター』で「授業終わり次第Parisに飛んで帰らなきゃ。週末だからロベルトが子供たちを守ってくれる。でも、心配」とざわつく気持ちを明かしていた。
十斗くんは今年、小学校を卒業したばかりだが「大丈夫だから、とロベルトに言われてもね、落ち着けない。(大学の)生徒たちにめちゃ心配された」という状況で最後の授業を終えた。「月曜日、フランスの学校は通常通りやるそうです。週明け保護者会もあるのでちょっとバタバタしそうです」と15日に羽田空港からパリへ。パリへの飛行機は通常どおり運航していたが、機内はガラガラだったという。降り立って我が家へ向かうが「市内は人が少なく日曜日みたいに静か。ただ重い空気がパリを包み込んでいました」と事態を肌で感じる。
学校へ息子を迎えに行った彼は「パパさんに向かって走ってきて、ギュッと抱きつかれたよ。よしよし、帰ろ。エッフェル塔はトリコロールカラーになってた。祈」と無事に会えてホッとした気持ちを伝えながら、パリの街へ思いを巡らせた。
やがて「十くんの友だちのいとこが足を撃たれ、別の子の親戚がバタクランで…」と身近な人々に被害が及んでいたことが分かる。学校でもテロについて授業があったらしい。「テロが長引けば子供たちの心に深い傷が。しばらく、親や学校は神経をつかうね」との思いから自身も息子のそばにいることにする。
辻仁成から見た現在のパリは、観光客は少ないものの店舗などは通常通りに営業して普通の生活に戻りつつある。“戦争状態”といったものものしい雰囲気はないが「ただ、人々は警戒し、悲しみを抱えています」という。また、テロ現場の近くに住む家庭教師が「今週はなるべく市内の移動をしたくないから休ませてください」と連絡してきたことで、彼も「市民は大きな緊張の中で生きています」と実感していた。
今回の同時多発テロを日本で知った辻仁成は「自分が息子と離れた隙に。落ち着かない。パリの弱点を彼らは知っている。そこをついてくる」と十斗くんへの心配を募らせながら、自身が書いた小説を思い出した。彼なりにテロについて調べただけに、「実はパリは防ぎようがない。残念ながら」と悔やんでいる。
※画像は『辻仁成 tsujihitonari Instagram』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)