過去の批判が嘘のように、今では奈良県の観光マスコットとして大人気になった“せんとくん”。全国放送のテレビ番組にも度々登場し、すっかり奈良県の顔というべき存在となった。そのせんとくんは今回、ヒップホップグループRIP SLYMEと初のコラボレーションが実現し話題となっている。
2008年2月に「平城遷都1300年祭」の公式マスコットキャラクターとして図案が発表されたせんとくん。当初はその斬新なデザインに県内だけでなく、全国から大きな批判が沸き起こった。それまでのマスコットキャラクターの多くは癒し系の可愛らしいものが主流で、せんとくんのように人間っぽい顔と体型で頭には角というクールなデザインは異質であった。マスコットキャラクターの概念を打ち破ったせんとくんだったが、奈良県には“気持ちが悪い”“子どもが怖がる”などとクレームが殺到。キャラクターの白紙撤回を求める市民団体が、署名活動を展開する騒ぎにまで発展した。
だがこの騒動が連日情報番組などで取り上げられると、“せんとくん”の名は一気に全国的な広まりを見せる。すると時間が経つにつれて“ちょっと1回、見てみたい”“会ってみるとキモ可愛い”などという声が多くなり、一転してせんとくんは人気者に。今では奈良県の正式な観光マスコットとしてイベントに参加したり、グッズが発売されるなど大活躍している。
そしてこのたび、RIP SLYMEが9月30日に発売するアルバム『10』の収録曲“青空”が「奈良県観光キャンペーン R-おとな テーマソング」に決定したことが縁で、せんとくんとRIP SLYMEとの初のコラボレーションが実現。6人目のメンバーとしてオリジナルコラボポスターに登場しているほか、『奈良県観光キャンペーン・特設サイト』で公開されているポスター撮影時のメイキング動画にも、せんとくんは出演している。
もう立派に愛されキャラとして認知されているせんとくんだが、『せんとくん(heijyosento)ツイッター』には度々、自身の悩みをつぶやいている。「もっとダンス練習せなあかん」「ほんで上司に仕事しろって言われたなう」という愚痴っぽいものや、9月1日には「せんともふなっしーさんみたいにいっぱい動いたほうがいいんかなぁ…」と切ない心境を吐露。するとフォロワーから「せんとくんにはせんとくんの良さがある」「いや、せんとくんもかなり機敏な動きしてるから大丈夫」と励ましの声が届いている。寄せられている多くのコメントを読むと、せんとくんがいかに愛されているかがしっかりと伝わってくるのだ。
※画像はYouTubeのサムネイル。
(TechinsightJapan編集部 みやび)