アートディレクター・佐野研二郎氏がデザインを手がけた2020年東京五輪の公式エンブレムが白紙撤回となり、各スポンサー企業はウェブサイトから削除するなど対応に追われている。東京五輪については他にテーマソング、公式ポスター、公式ユニフォームなどが未発表になっているが、特に注目されるのは公式マスコットであろう。高い経済効果が見込まれる公式マスコットは今回のエンブレム騒動の影響を受けて、世間の目がその選定方法に注がれる可能性がある。
9月3日放送の『モーニングバード』(テレビ朝日系)で“2020年東京五輪の公式エンブレムが白紙撤回”の話題を取り上げた際に、他にも未発表になっている項目がスタジオのボードに列挙された。MC・羽鳥慎一は、その中のある「公式マスコット」が果たしてすんなり決まるのかと心配な様子を見せる。大会組織委員会からはいつ決まるのかなど詳しいことは発表されていないが、公式マスコットもエンブレム同様、国民から強い関心が向けられることは間違いない。
近年のオリンピックで人気の高かったマスコットは、2008年に開催された北京大会の公式マスコット・福娃(フーワー)と言われている。オリンピックの五輪をイメージした「5人の小さな子ども」という設定で、子どもの名前を並べると中国語で歓待の気持ちを表すという工夫もされていた。当時の報道では経済効果が354億円超と伝えられているので、2020年の東京大会でも公式マスコット・ビジネスには大きな期待がかかっているのだ。
直近に行われたオリンピックは、2014年のソチ五輪である。この時の公式マスコットは野うさぎとユキヒョウ、そしてホッキョクグマの3体であった。大会前にメディアなどで紹介されたアニメやぬいぐるみは、とても可愛らしく人気が高かった。しかし実寸大になったホッキョクグマのマスコットは、体が黄土色で時には顔が半目状態。ツイッター上では、“怖い”“悪魔のようだ”というコメントの嵐となった。あまりにインパクトが大きかったので、このホッキョクグマだけは覚えている人も多いのではないだろうか。
2020年東京五輪の公式マスコットには、世界的にも有名な日本のアニメ・キャラクターを推す声がある。しかしオリンピックの公式マスコットになるとエンブレム同様、IOCが使用権またはライセンスを厳しく管理することとなる。そうなるとすでに商業展開されているキャラクターが、公式マスコットに採用されることは難しい。経済界からは“期待以上の経済効果を生んでくれる”新しいマスコットが望まれているようだが、国民にとっては何よりも愛着が持てる存在であることが一番。それにはエンブレムと同じく、マスコットの選定方法にも透明性が重要となるであろう。
※画像は『Sochi 2014 sochi2014 Instagram』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 みやび)