黒沢清監督による映画『岸辺の旅』が第68回カンヌ映画祭に招待された。本作でW主演する深津絵里&浅野忠信といえば、映画『寄生獣 完結編』でも重要な役どころを演じている。全くカラーが違う2作で共演しているこの2人、偶然と言えなくもないが、俳優としての資質があればこそ続けて顔を合わせることになったのだろう。
映画『岸辺の旅』が第68回カンヌ国際映画祭の“ある視点”部門に正式招待されることが決定すると、深津絵里、浅野忠信はともに喜び、黒沢清監督をはじめキャストスタッフと過ごした撮影を振り返った。本作は湯本香樹実さんによる同名の小説をもとに映画化したものだ。
3年間失踪していた夫が突然戻ってきて、妻と2人で失踪期間中に世話になっていた人々を訪ねる旅に出る。旅するうちに妻はそれまで知らなかった夫の姿を知り、深い愛情を感じていく…というラブストーリーを描いている。
夫の優介役を浅野忠信、妻の瑞希役を深津絵里が演じているが、黒沢監督はインタビューで「何があっても揺らがない超人、深津絵里さん、揺らぎ続ける天才、浅野忠信さん」と2人のカラーを表現した。映画『岸辺の旅』は今年の秋に公開予定だが、作品のイメージからゆっくりと静かに展開すると思われ、夫婦役の2人も繊細な演技を求められたはずだ。
一方、4月25日に公開された山崎貴監督による映画『寄生獣 完結編』で、2人はパラサイトを演じている。深津絵里はパラサイトが寄生した田宮良子役、浅野忠信も破壊型パラサイト・後藤役を務める。2014年11月29日より公開された映画『寄生獣』でも2人は同じキャラクターで出演したが、主人公の泉新一(染谷将太)と彼の右腕に寄生したミギー(声・阿部サダヲ)が警戒するほど戦闘力を持っている。
戦闘シーンはCGによるものとはいえ、冷静で残酷なキャラクターを演じる深津絵里や浅野忠信の姿と前述の岸辺の旅』での夫婦役とのギャップに驚く。俳優とは与えられた役を監督のイメージに応えて演じるものだが、それでもこの温度差を演じ分けるのはすごい。俳優の真髄を見たようだ。
※画像は『浅野忠信 tadanobu_asano Instagram』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)