大御所芸人であり、映画監督としても“世界のキタノ”と呼ばれ高い評価を得ているビートたけし。しばしば“天才”と言われる彼だが、そこには並々ならぬ努力をする真面目な一面があった。たけしと長い交流があり、全幅の信頼を寄せられているオフィス北野の社長・森昌行氏がその素顔について語った。
10日に放送されたTBSラジオ『たまむすび』のゲストは、オフィス北野代表取締役社長の森昌行氏。オフィス北野は、タレント・ビートたけしのマネジメントや映画監督・北野武のプロデュースを行っている会社であり、森氏はたけしと30年以上の長い付き合い。一時期、たけしのマンションに一緒に住んでいたこともあるそうだ。
当時は、よく飲みに行っていた2人。酔っぱらって帰宅するとそのまま寝てしまうのが普通だが、たけしはシャワーを浴びてお酒を全部覚まし、自分の部屋でネタを書いていたそうだ。朝、森氏が起床して部屋を出ていこうとすると、ネタを書きながら寝てしまったたけしの姿を見るのが常だったらしい。
「見えないところでの努力というのは人並み外れている」と語った森氏。どんなに飲んで遊んでも、やらなければいけない仕事はどんなに遅くなってもこなす。そんな真面目な姿を見て、森氏は自分を恥じたという。
常に努力を忘れないたけしだが、彼自身は“才能に勝る努力はない”と語っている。以前ある映画祭で、観客から「自分のことを天才と思うか?」という質問をされた時のこと。たけしはこのように答えたのだ。
「みんな簡単に“99%努力すれば天才になれる”と思っているかも知れないけど、それは解釈が逆で、99%努力したとしてもあと1%の才能がなければ天才になんかなれない。だから、せいぜい我々にできることは努力くらいしかないから、努力くらいしなきゃどうしようもないでしょう。」
つまり、“1%の才能は99%の努力より上回り、その1%は普通の人にはない。だから我々はせいぜい努力しかできないし、だとしたら99%の努力は当たり前”ということ。この言葉に会場からは拍手が巻き起こったという。
発明王・エジソンの名言とされる“天才は1%のひらめきと99%の汗”。これは“努力は才能よりも勝る”と受け取られがちだが、“1%の才能”がなければ絶対に天才にはなれないのだ。一方で、99%の努力がなければ天才になれないのも事実。それを自覚し、たゆまぬ努力を“当たり前”に行ってきたたけしはまさに“努力の天才”である。
(TechinsightJapan編集部 根岸奈央)