タレントの武井壮は、中高一貫教育の私立学校で学んでいる。その経歴から彼の育った家庭は裕福だったかと思う人もいるだろう。しかし彼の場合は経済的に苦しい家庭環境だったため、「特待生」として学費が免除されることが目的だった。部活と勉強を両立しながら、全ての家事を自分で担わなければならない日々。そんな武井の支えとなったのが、中学時代の恩師、野球部監督の存在である。
2月24日深夜放送の『まさかのタメ年トークバラエティー!ビックラコイタ箱』(中京テレビ・日本テレビ系)に、武井壮と同じ中学の野球部で汗を流していた旧友から、校名の入った懐かしいグラウンドコートが送られてきた。添えてあった手紙には、武井がいかに部活に打ち込んでいたのかが綴られていた。
当時の監督は「努力しないヤツには、バッティング練習はさせない」という方針で、週に1回手の“マメ検査”が行われていたという。監督自ら部員一人一人の手のひらをチェックして、マメができていない柔らかい状態だとバッティング練習は一切させてもらえなかった。武井の手はいつもマメだらけで硬くなっており、チームメイトらは驚いていたらしい。また勉強を疎かにすることも監督は許さず、定期テストの学年順位でバッティング練習の球数が決められていた。毎回学年でトップだったという武井は、いつもチームメイトの中で一番多い球数を打つことができたそうだ。
武井には学業を頑張らなければならない切実な理由もあった。彼が通っていた学校は当時、成績優秀者には学費が全額免除、学年3番以内の場合は入学金も免除された。また定期テストで学年1番の生徒には、月1万円強の奨学金が支給される。家庭環境が複雑で親と一緒に住むことができず、経済的に余裕が無かった武井がこの中高一貫校へ通うことを決めたのも、この特待生制度があったからである。
野球部の監督自身も苦学生だったので、武井の生活が大変なことはよく理解していたようだ。たとえば中学の昼食は弁当持参だったが、彼は自分で作ることも買って用意することもできなかった。そんな武井をさりげなく職員室に呼び、何かしら食べさせてくれたのが監督だった。
「これだけやってもらっているんだから、部活も勉強も一生懸命に頑張らなければ」。その思いは高校を卒業するまで消えることなく、武井は中高6年間定期テストで学年トップを守り続けたという。恩師の恩義に報いたい一心が、彼を奮い立たせ努力を惜しませなかったのだ。
武井のツイッターやラジオ番組での発言には、彼の思慮深さや心ある人柄が感じられる。類い稀な運動神経の良さだけが魅力ではないのだ。
(TechinsightJapan編集部 みやび)