「日本一熱い男」と言えばこの人、元テニスプレイヤーの松岡修造だ。先の全米オープンテニス男子シングルスで準優勝を果たした錦織圭選手への熱い祝福コメントも記憶に新しい中、やはり今日も話題は錦織選手に集中した。とりわけ興味深かったのが錦織選手のコーチとして再び脚光を浴びたマイケル・チャン氏と錦織選手の関係だ。現役時代、自身も3度マイケル・チャン氏と対戦したことのある松岡の口から意外な事実が語られた。
28日、伊勢佐木町・有隣堂にて松岡修造[日めくり]『まいにち、修造!(副題:心を元気にする本気の応援メッセージ)』(発行:PHPエディターズ・グループ)の発売を記念して松岡修造トークショー&サイン会が行われた。
最前列に座っていた男の子に「今一番ホットなニュースって何?」と質問を投げかけ、「錦織圭選手」との答えに大満足した様子の松岡。「(錦織)圭の話をしに来たわけではない」と断りながらも、半分以上が錦織選手の話題となった。
松岡によると、錦織選手はいわゆる天才肌であり、日本人が一番得意とする「同じことの繰り返し」練習を好まなかったという。感性で動き、感覚でプレーをする錦織選手には「戦略」というものがなく、松岡は「失礼な言い方をすれば」と前置きしたうえで「錦織選手にはコーチがいないも同然だった」と語った。実際、錦織選手はジュニア時代からコーチと深く話し合うということがなかったそうだ。
そんな錦織選手の転機となるのがマイケル・チャン氏のコーチ就任であった。松岡はマイケル氏のことを「普通じゃない」と表現した。自身もツアー中3回マイケル氏と対戦したことのある松岡は、「(マイケル氏は)はっきり言ってテニスは大したことはなかった。女性と(対戦)しているんじゃないかと思うほどパワーがない。ただ、どんなにやっても(松岡のボールが)決まらない。マイケル氏の怖いところはけして諦めないところ。とにかくメンタルが凄い。そして戦略が凄い」とそのプレイスタイルを振り返った。怪我のためひざに体重をかけられず、低いバックが苦手だった当時の松岡に対し、「(マイケル氏は)必ずそこを狙ってきた」とも語った。
そんな「普通ではない」戦略家であるマイケル・チャン氏をコーチに迎えたことによって、錦織選手が飛躍的な進化を遂げたであろうことは想像に難くない。マイケル氏はリスクを嫌い、錦織選手に徹底的に反復練習をさせたという。松岡曰く「(錦織選手が)プロになってからフォームを直されたのは(マイケル氏によってが)初めてだと思う」と言うほど、マイケル氏のコーチとしての存在感は大きいようだ。
リスクを徹底的に嫌うマイケル氏を、「僕と同じように(錦織選手も)マイケル・チャンのことは嫌(イヤ)だと思う」と仰天の前置きのうえで、「マイケル・チャンがコーチについたことで、錦織選手が苦手とした“同じことを繰り返す”練習や強いメンタルや戦略を学び、チャンスをさらなるチャンスに変えられるようになった」と分析する。「長い怪我をしなければ100%グランドスラムで優勝しますよ」と太鼓判を捺した。さらに「反省はしても後悔はするな!」と錦織選手へ熱いエールを送った。
(TechinsightJapan編集部 うめ智子)