病院の売店や食堂で販売される食品やメニューは、やはりヘルシーなものを心がけるべきか。それとも人々の食の好みに忠実であるべきか。スコットランドのある病院の売店が、場所柄あまりにも不適切なパイを販売しているとして物議を醸している。
病院の食堂には、激務と言われる医師や看護師はもちろんのこと、介護にあたる人々や患者の家族、職員や出入りの業者だって訪れる。そこでは高カロリー高タンパクのガツンと来るメニューを提供するべきか、それともいわゆる“病院食”にみられるようなヘルシーメニューにこだわるべきか…。スコットランドのダンディーシティにある「ナインウェルズ病院(Ninewells Hospital)」では、売店のフードコーナーで販売されているパイに批判が集中しているもよう。早い話が、メタボリックシンドロームの人々を増やしたがっているかのようなパイだという。
1.5英ポンド(約258円)で販売されている、手のひらサイズのそのパイ。ヨークシャープディング風の生地の上に鎮座しているのは、赤身肉を使用したベーコンと卵、そして血の風味と黒ずんだ色が特徴の「ブラック・プディング」と呼ばれるソーセージ、豆などである。カロリーは1つ600~800kcalとみられ、高脂肪、高タンパク質、高塩分で野菜はゼロ。食べ続ければ、いずれは脳卒中か心臓発作を引き起こすリスクが高まるであろう。
提供されている場所が場所だけに、ヘルシーライフを意識する人々はもちろんそのようなパイには見向きもしないが、実際にその病院内を見回せば医療スタッフも職員も、そして患者も肥満体型の人ばかり。この売店の運営には英国政府による「国民保健サービス(National Health Service:NHS)」が関与しているが、第三者組織に委託するようになってから監督の目が緩んでしまったもようだ。NHSは国民の止まらない肥満傾向に「ヘルシーな食事を心がけましょう」などと必死に呼びかけてきた。病院にはそのお手本になってほしいと強く願っているに違いない。
※ 画像はmirror.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)