エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】May J.を育てた“辛い下積み時代”。「ライブ後にトイレで泣いたことも」

May J.はアニメ映画『アナと雪の女王』日本語版主題歌、『Let It Go~ありのままで~』のエンドテーマを歌い、実力派歌手として広く知られるようになった。だが、そんな彼女も辛い下積み時代があったのだ。ほとんど無名だった数年前までは、歌を披露できる場所と言えばDJの音楽で踊るために若者が集うクラブしかなかったという。その彼女がどうやって大ヒット歌手の地位を手にしたのだろうか。

子どもの頃からディズニーアニメの世界に憧れて歌手を目指したMay J.は、ピアノやオペラなど幅広い音楽教育を受ける。8歳でフィリアホールでオペラソングを初演するほどに成長しており、エイベックス・アーティストアカデミーのヴォーカルコースを首席で卒業したのが13歳だった。そして、子どもの頃から夢見たディズニーアニメのテーマソングを歌って大ヒットする。ただ、それは辛い時期を乗り越えてこそたどり着けた位置だったのかもしれない。

8月9日のトークバラエティ番組『心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にゲスト出演した彼女は「デビュー当時から、つい2~3年前までライブ会場はクラブだった」と振り返ってMCの加藤浩次らを驚かせた。クラブといってもナイトラウンジのようなところではなく、DJの流す楽曲に合わせて若者中心のお客が踊るクラブのことだ。

アルコールも入ってお客たちが盛り上がる中で、一旦楽曲が止まり「みなさん、こんばんは。May J.ですっ、楽しんでますか…」と彼女が登場するが“シーン”としてしまう。「アウェイな状況をホームにしないといけない」ところから始まるので大変だ。当時、彼女が出していた楽曲はR&B中心でノリの良いものが多かったが、それでもなかなかお客の心はつかめない。うまくいかないことも多く「ライブが終わった瞬間、トイレに行って泣いたこともある」と明かす。

しかし、彼女は他のアーティストのライブを観に行って学び、自分なりに研究した。やがてMCも「こんばんはっ! May J.ですーっ! みなさん、飲んでますかーっ!!」とハイテンションで入るように改善して、客からも「ウワーッ!」と手応えが返ってきた。「そこの人、大丈夫~っ!」、「どこから来たの?」など“お客さんイジリ”も覚えた。「環境を作ってから歌うと、みんな聴いてくれます」と言うMay J.は今ではアウェイな状況でも「よしっ、このお客さんをみんな振り向かせてやるぞっ!」という気持ちになれるそうだ。

翌日、10日に放送された『情熱大陸』(毎日放送、TBS系)で取り上げられたことからもMay J.の人気が分かる。ロケで下積み時代を過ごしたクラブを訪れた彼女は、2007年12月にリリースした1st.アルバム『Baby Girl』の中から『Dear…』を聴きながら、「この曲は“すごい。めちゃイイ曲。名曲”だと思いシングルにもしたけど届かなかったな~」と当時を思い出す。しかし、聴きながら「歌い方はまだまだダメ。全然ダメです」と自己反省していた。今のMay J.の力は、その頃とはレベルが違うのである。

彼女の知名度が上がったのはバラエティ番組『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日系)の“カラオケ得点対決”だった。2012年6月16日の放送から26連勝して“カラオケの女王”と言われるようになり、同時に抜群の歌唱力が話題となったものだ。

クラブで下積みを続ける中で、ようやく日の目を浴びるキッカケとなったことについて、彼女は「自分でどういう状況にいるか理解していた。“私はこんな場所でしか歌わない”なんて言える立場ではないことは分かっている」と語る。それまで、自分の歌声を多くの人に届ける場所がなかったが、“カラオケ得点対決”によってそれが叶った。カラオケ女王というイメージはついてしまうが「それが自分のできるベストだった。チャンスはつかまないといけない」とMay J.はいう。

このバラエティ番組での活躍なしには、おそらく彼女が『Let It Go~ありのままで~』を歌うことはなかっただろう。2014年3月26日に出した『Heartful Song Covers』は同曲が収録されていることも手伝ってオリコンチャート週間2位まで上昇した。May J.は現在、全国ツアー『May J. Tour 2014 ~Message for Tomorrow~』の真っ最中だ。今ツアーのライブではカバー曲に加えてオリジナル曲も披露している。さらに、9月10日には久々のオリジナル曲『本当の恋』のシングルも発売される。次はカバーではなくオリジナル曲で大ヒットを狙いに行く。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)