今さらそんなことを言われても…と開催に向けて着々と建設工事を進めてきたカタールは思っているに違いない。FIFA会長がこのほど「中東カタールをW杯開催の地に選んだことは失敗だった」と発言し、波紋を広げている。
FIFA(国際サッカー連盟)のゼップ・ブラッター会長は15日、スイスの放送局『RTS』とのインタビューで2022年のワールドカップについて、気温が50℃にもなる中東カタールを開催国として選んでしまったことに批判の声があることに触れ、「あれは完全なる失敗だった」と答えた。さらに「人が過ちを犯すことは人生においていくらでもある」と続けるなど、葛藤や苛立ちを強気な言葉に変えてみせた。
国として豊かな資産を誇るカタール。余るほどのお金をかけ複数のスタジアムはどれも贅を尽くし豪華そのものだ。それをブラッター会長が「失敗」と言い放った理由は厳しすぎる夏の気候。夏の開催を冬に移すことについて今年中には結論を出したいとしている。そして国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」からも批判が出ており、他国からの出稼ぎ労働者の労災死の問題も無視できない。悪条件の下で低賃金かつ長時間建設作業にあたっているため、ネパールからの出稼ぎ労働者だけでも昨年1年間で185人の死亡が確認されている。
ブラッター会長はさらに、韓国や米国を抑えてカタールがW杯開催地として決定した投票の背景に高額な贈収賄が存在したというかねてからの黒い噂や、「投票の3日前には結果が分かっていた」という関係者の発言を否定したが、世間の人々やメディアが抱いているダーティなイメージを完全に払しょくするには至っていない。ちなみにブラッター会長は2010年、大会開催中のLGBTに関する各種活動は遠慮してほしいなどと発言して批判を受けたことがある。
※ 画像はwashingtonpost.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)