漫画版『ドラえもん』やゲーム『ガンダム無双』、『ドラゴンクエスト8』を英語圏の人々が楽しめるように“ローカライゼーション”する翻訳家のマット・アルト氏が、翻訳する際の苦労を明かした。
29日放送の『たまむすび』(TBSラジオ)に、最近話題となっている漫画版『ドラえもん』の翻訳家、マット・アルト氏がゲスト出演した。
アルト氏は“ほんやくコンニャク”を“Translation gummy(翻訳グミ)”とするなど、ただ翻訳するのではなくそれぞれの生活様式に合わせた“ローカライゼーション”を意識している。英語で読む人に「翻訳されたもの」と感じさせないことを心がけているそうだ。“桃太郎印のきびだんご”は、桃太郎自体を知らない英語圏の人々にも分かるように“Wild beast taming pellets(野獣を飼い馴らすための小球)”としたという。
“どら焼き”は、先に翻訳されていたアニメ版は子供向けということもあり“yummy buns”となっていたところを、漫画版では“Dorayaki”とした。理由は漫画やゲームと同時に、それ以外の日本文化も伝えたいためだ。
ゲームの翻訳では、文字数が大きな問題となってくる。日本語で“剣”という言葉は、“sword”と5文字になってしまう。特に昔のゲームは、画面も小さく容量も少ないためか文字数の制限が厳しかったようだ。最近のTwitterについても、「日本語なら源氏物語がツイートできる」と日頃、文字数が増える英訳を担当するアルト氏らしい冗談交じりの愚痴をこぼしていた。
アルト氏にかかればガンダムの名セリフ「アムロ行きます!」は、「Amuro! Go!」ではなく「Amuro! Let’s do it!」ということになるようだ。後ろ向きな性格のパイロット・アムロには少々陽気すぎる気もするが、そもそも彼の抱える自己矛盾をアメリカ人が面白いと思えるのか知りたいところだ。
(TechinsightJapan編集部 佐々木直まる)