エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】NHK『ラストデイズ 忌野清志郎×太田光』に反響。「もう1回見たい、大好きな2人!」

忌野清志郎さんの命日、5月2日に放送された『ラストデイズ 忌野清志郎×太田光』(NHK総合)を見た視聴者からネットで賛否がつぶやかれている。「太田光のしゃべりが多い」、「曲をもっと流して欲しかった」といった不満から「太田光も真摯で良かった」、「シラフでもっかい見たい! 大好きな2人だ!」などの好評もあり、多くが何らかの刺激を受けたようだ。

5月1日に“忌野清志郎さん、26年前録音「幻のテープ」見つかる”という報道が流れて清志郎ファンを驚かせた。そのテープに入った歌声が、『ラストデイズ 忌野清志郎×太田光』で流れたが、番組の展開上このテープが大きな意味を持つことになった。

放送が終わると、視聴者の一部からは「なんで太田目線の番組にしたのか」、「清志郎の曲を沢山かければいいのに、太田光のしゃべりはいらなかった!」と不満もつぶやかれている。しかし、50分間という放送時間で制作側が焦点を絞って伝えるには、“太田光”と“幻のテープ”は重要だった。

太田光が雑誌で「国政選挙で投票しても何も変わらないのならば、投票しないという選択も正しいのでは」という主旨を書いたところ、清志郎さんから「一言文句が言いたい」と対談を申し込まれた。清志郎さんは爆笑問題のファンだったが、がっかりしたことを告げると「政治に無関心なんて言ってると、君の息子なんかが戦争に行っちゃうわけよ」と諭した。それが、太田光と清志郎さんとの関係の始まりだ。

太田は『トランジスタラジオ』の世界観みたいにルール違反をしてドロップアウトする気持ちよさを、「さらっと歌ってのける忌野清志郎」が好きだった。だが、RCサクセションのアルバム『COVERS』から「歌詞が直接的になった」ことに違和感を覚えたという。

そうした思いを抱えた太田光が訪れたのが、元レコード会社の宣伝部主任だった近藤さんだ。彼は1987年に清志郎さんがコンサートで突然ボブ・ディランの『風に吹かれて』を日本語で歌いだした時に居合わせた。

「いやあ、良かったですよ」と感想を伝えると清志郎さんは喜んだそうだ。年明けに「君だけが『風に吹かれて』をほめてくれたので、お礼に。“オセーボだぜ!”」というメッセージとともに1本のカセットテープが届いた。久々にそれを見つけ出したのが、「幻のテープ」である。

そのテープには『風に吹かれて』の他にも清志郎さんが自宅で弾き語った『サン・トワ・マミー』や『Paint It Black(黒くぬれ!)』など数曲が収められており、後に『COVERS』へと発展する。

1986年にアルバムのレコーディングでロンドンに渡った清志郎さんはイアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズと出会い、彼らをはじめ英国のミュージシャンが政治や社会情勢に対してダイレクトなメッセージを歌う姿勢に刺激を受ける。さらに、清志郎さんは育ての母から生みの母の戦争体験を知らされたことで、その思いが重なって反戦や反核を主張した『COVERS』へとつながるのだ。

『COVERS』が当初のレコード会社から発売禁止となった時に、呼び出されて理由も聞かされずそれを言い渡された清志郎さんは怒りで灰皿を床に叩きつけたという。

また、『COVERS』の収録に参加した泉谷しげるが「気分は分かるから参加はしたが、『お前、そういう方向にいくのは良くないよ』とケンカしたね」と語り、チャボこと仲井戸麗市が「RCサクセションとしても戸惑った」と当時を振り返る貴重なシーンもあった。

番組では『COVERS』を巡って“忌野清志郎”の歌が変化を見せた時代を追い、彼の半生を描き出そうと試みた。そこで案内人として清志郎さんから“文句を言われた”関係にあり、『COVERS』での変化を疑問に感じた太田光が選ばれたのではないか。

もちろん、視聴者からの太田光への感想は不満ばかりでは無い。

太田が現在のザ・ブロックヘッズのメンバーとスカイプで対話した場面では、「『あんたたちに会ったことが清志郎さんに悪影響を及ぼしたんだよ』って切り出したときは、太田らしいやって思った」と評価するつぶやきも複数見受けられた。

「太田光という人選もハマってたと思う」、「太田光も真摯で良かった」、「太田が清志郎さんを繊細で敏感な人だと言っていたのと、もっと年をとったらきっと鈍感になれたのだろうが、それは表現者としてはおちることだと言っていたのが印象的だった」という感想も少なくない。

「忌野清志郎と太田光のテレビに見入ってしまった」、「忌野清志郎と太田光おもしろかった」、「見てよかった。忌野清志郎×太田光。ナレーション西島秀俊」と出演者への好評もあり、「シラフでもっかい見たい! 大好きな2人だ!」と再放送を望む声もあった。

番組の評価は見た者それぞれで異なるだろうが、清志郎さんがあの世から見ていたのならばNHKが『COVERS』を取り上げて、部分的ながらも『ラヴ・ミー・テンダー』や『サマータイム・ブルース』を放送したことに対して「ちょっとは変わったな」と微笑んでいるのではないだろうか。

※画像は『twitter.com/nhk_lastdays』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)