吉本興業100周年の歴史を彩る音楽編。時代を越えた「名曲」と「感動」、「笑い」を詰め込んだ奇跡の3枚組CDがついに発売された。よしもと芸人歌唱のオリジナルバージョン・ベスト盤2枚と、アーティストによるカヴァーバージョン盤1枚からなる『YEAH♪♪~YOSHIMOTO COVER&BEST~』だ。オリジナルを聴いて懐かしさに浸るもよし、カヴァーバージョンで今風に進化したよしもとの名曲を楽しむもよし。誰もが耳にしたことのあるよしもとの楽曲が詰まった記念すべき作品となった。
実は『YEAH♪♪~YOSHIMOTO COVER&BEST~』が5月28日に発売されるまで、その内容について詳細は知らなかった。不思議なことに1週間ほど前に、脳裏に突然「そうなんですよ、川崎さん! ちょっとまってください、山本さん!」というフレーズがよぎった。「“ザ・ぼんち”とか懐かしいな~」と思ったが、なぜそれが浮かんだのか考えもしなかった。
そして、5月28日のこと。ラジオから『アミダばばあの唄』が流れてきたではないか。「うわ、懐かしい…でも、さんまの歌ってこんなにセンス良かったかな?」と聴いていると、歌手はスチャダラパーだと紹介された。『YEAH♪♪~YOSHIMOTO COVER&BEST~』のリリース日だったのだ。
まず、DISC-1(17曲)とDISC-2(18曲)に詰まったよしもと芸人によるオリジナルでは、タイムスリップしそうな懐かしさに襲われる。前述の『ザ・ぼんち/恋のぼんちシート』や『明石家さんま/アミダばばあの唄』はもちろん、『間寛平/ひらけ!チューリップ』、『月亭可朝/嘆きのボイン』といった昭和の名曲が多数収録されている。
さらに、『ゴリエ with ジャスミン&ジョアン/ Mickey (Hawaii ver)』、『エキセントリック少年ボウイオールスターズ/エキセントリック少年ボウイのテーマ』、『くず/ムーンライト(アルバムヴァージョン)』、『時給800円/死ぬほどあなたが好きだから』など若い世代のナンバーもしっかり収録されているのが嬉しい。
その2枚だけでも貴重なものとなるが、DISC-3でよしもとの名曲13曲をアーティストがカヴァーしたバージョンが圧巻だ。
『スチャダラパー/アミダばばあの唄』は前述のようにラジオで耳にしたが、ラップで原曲を崩すようなことはなく、彼らなりに明石家さんまのオリジナルをリスペクトしているのが伝わるものだ。光るセンスで『アミダばばあの唄』が進化していることにニンマリさせられるだろう。
さんまのナンバーといえば、オリジナルには収められていない『東京スカパラダイスオーケストラ/しあわせって何だっけ』も聞き逃せない。ちなみに『恋のぼんちシート』はガガガSPがカヴァーしている。
『KOJI1200 /ナウ・ロマンティック』をカヴァーしたPUFFYは、「このお話をいただいた時、アミユミは真っ先にこの曲がイイ!と意見が一致したぐらい大好きな曲です! いつ聴いてもオシャレでカッコイイ! 今田さんのビジュアルも最高です。この曲をカヴァーできて、すごく嬉しいです!!」とコメントを寄せている。
また、浜田雅功の代表曲ともいえる『H Jungle with t / WOW WAR TONIGHT』をカヴァーするにあたってET-KING イトキンは「カヴァーさせていただけることが決まったとき、メンバー全員が「よっしゃ!」とガッツポーズをとるくらい、本当に嬉しい制作となりました」「学生の頃、テレビでながれた時の衝撃。そして何度も何度も聴いたこの曲を、友達と行ったカラオケで最後に『一緒に』歌う。そのことが青春の思い出として、今も強く心に残っています」と語った。
『藤井隆/ナンダカンダ』をカヴァーした音速ラインは、「昔から藤井隆さんが好きで、この曲もメロディーが気に入ってよく聴いてました。震災後の素直に生きづらくなっている状況の中、今こそ聴かれるべきメッセージだと思います」とコメントしている。
浜田雅功と歌う『チキンライス』でも知られる槇原敬之は自身が作詞作曲した、お笑いライブ・フェスティバルLIVE STANDの公式テーマソング『LAUGH! LAUGH! LAUGH!』をセルフカヴァーしている。
「自分は大阪人なので、お笑いの人たちに歌ってもらうということが特別すぎて、自分の中でちょっと考えすぎてしまったんですが、自分がお笑い芸人の方々から受けた励ましみたいなものを、ストレートに描いたつもりです。幼少の時から見ていたよしもと新喜劇で感じたことを僕なりに、お笑いの人はこういう人たちなんだろうなと思って書きました。実際にこの曲をお笑いの人が歌う時、どういう気持ちになるかまったくわからず、違和感みたいなものを抱いたりとか、歌詞がちょっとシリアスなので、不本意じゃないかなとか、そういうことを心配して作ったことを覚えています。」
槇原敬之がそんな思いでこの楽曲を作ったとは意外だ。「そんな曲ですが、この度リリースになることを非常に嬉しく思っています。本当にたくさんの芸人さんが歌ってくれたあのテイクは圧巻でした。が、そのバージョンは『Live Stand』でぜひ聴いてくださいね」とオリジナルにも配慮していた。
『YEAH♪♪~YOSHIMOTO COVER&BEST~』
【収録曲】
DISC-1
01. ザ・ぼんち/恋のぼんちシート
02. 間寛平/ひらけ!チューリップ
03. 桂三枝 ダボーズ/夕陽のアンジェロ
04. 西川のりお・上方よし/ MAIDO
05. 太平サブローシロー/稲妻ベイビー
06. うなずきトリオ /うなずきマーチ
07. 西川きよし・西川ヘレン/ふたりの大阪
08. 中田カウス・ボタン/星影の詩
09. Wヤング/坂町ブルース
10. オール巨人/あんじょうやりや
11. 花菱アチャコ/アチャコの応援歌
12. 笑福亭仁鶴/どんなんかなァ
13. 月亭可朝/嘆きのボイン
14. 岡八郎/目は人間のマナコなり
15. コメディNo.1 /アホの坂田
16. 河内家菊水丸/カーキン音頭~フリーター一代男(青春上京篇)
17. Y.S.P オールスターズ/ ECSTASY-OSAKADISC
DISC-2
01. 明石家さんま/アミダばばあの唄
02. H Jungle with t/WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~ TWO MILLION MIX
03. ゲイシャ・ガールズ/Grandma Is Still Alive(T.Mori’s Flying Phat Mix)
04. KOJI1200 /ナウ・ロマンティック
05. 藤井隆/ナンダカンダ
06. ゴリエ with ジャスミン&ジョアン/ Mickey (Hawaii ver)
07.WEST SIDE / WEST LOVE SHINE
08. エキセントリック少年ボウイオールスターズ/エキセントリック少年ボウイのテーマ
09. 明石家さんま/ビックリ箱のうた
10. 野沢直子/おーわだばく
11. 時給800円/死ぬほどあなたが好きだから
12. ロンドンブーツ1号2号/岬
13. SHINSUKE BAND /時間だけがロックンロール
14. くず/ムーンライト(アルバムヴァージョン)
15. 明石家さんま/いくつもの夜を越えて
16. 浜田雅功と槇原敬之/チキンライス
17. BEGIN with アホナスターズ/笑顔のまんま
18. Re:Japan /明日があるさ
DISC-3
01. 東京スカパラダイスオーケストラ/しあわせって何だっけ
02. 槇原敬之/ LAUGH! LAUGH! LAUGH!
03. デーモン閣下/ FRIENDSHIP
04. つんく♂/ ECSTASY -OSAKA-
05.PUFFY /ナウ・ロマンティック
06. ガガガSP /恋のぼんちシート
07. スチャダラパー/アミダばばあの唄
08. 音速ライン/ナンダカンダ
09. 前川真悟(かりゆし58)/春はまだか
10. キリンジ/わたしの青い空
11. 奥田民生/あぁ エキセントリック少年ボウイ
12. 夏川りみと山口智充/ムーンライト
13. ET-KING / WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~
特に古い時代のよしもとの楽曲はオリジナルを知らない世代も増えている。よしもとがYouTube動画で公開している『よしもとカヴァー&ベスト DISC-1紹介映像 ベテラン勢の名曲満載のベスト』ではその時代の雰囲気が分かって楽しい。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)