イギリス在住のある女性パーキンソン病患者に今、大きな注目が集まっている。なんとビートの効いたある種の音楽を聴くことで、手足の辛い症状が治まり、ダンスさえ踊れるようになったというのである。
英ダービー在住のクリスティン・リーヴさんが、パーキンソン病と診断されたのは2006年のこと。ひきずる足と右手の震えから始まり、病は徐々に進行して歩行の幅がせばまり動きが緩慢に。話す機能も衰えていった。しかし発症から8年。彼女と主治医はこのほど、「同じ病と闘っている人々の生活の質が少しでも改善されるのであれば」として、身をもって確認した不思議な音楽療法の体験を英メディア『デイリー・ミラー』に紹介してくれた。
「Mud」というバンドの、モンキーダンスでも踊りたくなるような軽快なロックナンバー“Tiger Feet”を聴いた時、「手足にかつての自由な感覚が戻ってきたことに驚き、その後もマーチング調の軽快な音楽を聴くとなぜか症状が治まってくれるんです」と話すリーヴさん。“Tiger Feet”はiPodで懐かしい1970年代のヒット曲を探っている中で見つけたもので、強烈なビートを聴いていると体が自然とダンスを踊り始め、後ろ向きにステップを踏むことさえできるようになったそうだ。
リーヴさんを診察しているのは「London Road Community Hospital」。パーキンソン病が専門のフィオナ・リンドップ医師は、「キューイングと呼ばれ、患者の歩行訓練にメトロノームの使用が有効なことはこれまでも分かっていました。でもリーヴさんの症状改善例は驚くばかりです。彼女の様子をビデオに収めてモントリオールでの学会にて発表したところ、大変な反響を得ました」と話している。ただし他の患者にも音楽療法を取り入れてみたところ、ツボとなる曲は患者ごとに異なることが分かったそうだ。リーヴさんの現在のお気に入りは5曲ほど。イヤホンでの音楽鑑賞が欠かせない日々を送っているが、飽きてしまう、あるいは慣れてしまうことを考え、新たなツボとなる曲を今日もどんどん探しているという。
※ 画像はmirror.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)