5歳の時から20歳の現在まで「食べ物は揚げたポテトのみ」という英国の女性が、その不健康な食生活を改めたいとして、このほどやっと専門家のもとへ。催眠療法や認知行動療法を経て、彼女はついに「選択的摂食(SED)」を克服しようとしている。
英コーンウォールのトルーロに暮らす20歳の女性、ハンナ・リトルさんがまともな食生活を送っていたのは5歳まで。その後15年間にわたり重度の摂食障害に苦しんできた。彼女の摂食障害は痩身目的の過激なダイエットや嘔吐の習慣とは異なり、「これしか食べられない」というもの。家族をそれは心配させてきたのである。
ハンナさんが5歳の時から揚げたポテト以外のものを口にしなくなった(画像はmirror.co.ukのスクリーンショット)理由は、他の食品を食べ気分が悪くなってしまい、しかし単純な塩味であるチップスだけは食べられたというある時の経験から。それをきっかけに、朝食はトーストを食べるがランチとディナーはチップスのみ、そんな非常に偏った食生活を続けていた。だがハンナさんは最近ある工場で働くことが決まり、そこで提供される食事を他の従業員とともにとらなければならなくなったのだ。
しかし長年の悪い習慣を改善するのは実に難しいもの。彼女は国家認定の精神分析医であるフェリックス・エコノマキス氏の指導を仰ぎ、催眠療法を受けた。するとさっそくピザが美味しいと感じられるようになり、いくつかのセッションを経て今は好物がどんどん増えているという。少し心に余裕が生まれてきたハンナさんは、自分の摂食障害を英紙『デイリー・ミラー』にこんな風に語っている。
「私の摂食障害は“選択的摂食(SED=Selective eating disorder)”といい、それ以外の食品を受け付けなくなるの。もしも食べたら病気になってしまうのではないかといった恐怖、不安が常につきまとっていたわ。だから友人とのピクニック、パーティやバーベキューには参加できないし、ボーイフレンドの家に遊びに行った時、彼のお母さんが素晴らしいパスタ料理を作ってくれたのに、一緒にディナーを楽しめなかったのよ。“トマトアレルギーで”なんてごまかすしかなかったわ。」
エコノマキス氏は同紙に、「SEDは幼いころの食品摂取が原因となり、その不調が心理的なトラウマになって発症することが分かっています。私たちが手助けすることにより患者さんはそうした過去の恐怖を克服し、潜在していた他の食品への拒否感から解放されるのです。催眠療法の各セッションはたった1時間で、終了と同時に新たな種類の食品に数々トライしてもらいます」と説明している。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)