太ると体に与える様々な影響が心配されるばかりか、思わぬ事故に見舞われて突然命を落とす確率がどうしても高くなる。これまでも超肥満体の人々を苦しめた様々なアクシデントをお伝えしてきたが、今回は『The Irish Independent』紙が報じたある女性の悲劇をご紹介したい。
アイルランドのダブリンで、今から1年3か月ほど前に自宅のバスルームで不幸な死を遂げた53歳の女性について、検死官裁判所は現場の状況を含めた検視や司法解剖などの結果に、それまでの身体的状況を踏まえ、このほどやっと「他殺などの事件性はなし。極端な肥満体型ゆえの不幸な事故」と断定した。
その女性の名はメアリー・マクメナミンさん。2012年12月9日のこと、約286kgもある体で杖をつきながらバスルームに入ったが、そこで転倒した。彼女の叫び声にパートナーのゲリー・ドイルさんが駆けつけ、必死で体勢を立て直すよう手を添えたが彼女の重すぎる体重には為す術もなく、その中でメアリーさんは心臓発作を発症。救急救命士が現場に到着してやっと彼女を寝室に移したが、その後に心肺停止が確認された。
裁判では死因審問において、ゲリーさんに助けを求められて救急車を呼んだという隣人のドンナ・オライリーさんが、「2人の力をもってしても、どうしても彼女の体を動かすことは叶いませんでした」と答えている。また彼女の遺体の検視にあたった「セント・ジェームズ病院」のラマダン・シャトワン医師は、「心臓の重さが健康な人の約2倍あり、それに由来する不整脈が心臓発作を引き起こしたと思われます。また体位性窒息のエビデンスもありました。無理な体勢により腹部の内臓が横隔膜を押し上げ、彼女の肺はひどく圧縮された状態にあったとみられます」と説明した。
そしてパートナーのゲリーさんは、メアリーさんのライフスタイルについて「彼女は自分の体重について何年間も深く悩んでおり、喘息発作や糖尿病といった病気にも苦しめられていました。行動的なタイプではなく、ベッドの上で過ごすことが多かったように思います」と述べている。動きたがらないから太ってしまい、太ってしまうとさらに動くのが億劫になる、そんなタイプであったという。メアリーさんの不幸な転倒事故から学ぶことは多いようだ。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)