昨年9月、その引力に吸い込まれるようにして小天体が月面に衝突した。いや、月に衝突してくれたからこそ、地球への衝突を免れたと言ってよいのであろう。スペインの天文学者が捉えていたそんな映像が今、大きな話題になっている。
こちらの画像は24日、『Graig Park』さんが“9RAW: Asteroid crashes into Moon”というタイトルでYouTubeに投稿した動画のスクリーンショットである。昨年9月11日、時速約61,000kmの速さで小天体が月面に激しく衝突し、肉眼でも分かるほどの閃光が8秒間にわたり放たれた。その様子をスペイン「ウエルバ大学」の客員教授をしている天文学者のホセ・マリア・マディエド(Jose Maria Madiedo)氏が2台の望遠鏡で捉え、ロンドンの「王立天文学会(Royal Astronomical Society)」に情報を寄せていたのだが、世界的な注目を集めるには至らなかったという。
軽くシュッと音を立てて小天体が地球の大気圏に突入する様子を流れ星と呼ぶが、ここで大概は燃焼して気化し、それでも地球の海面や地面に到達すると隕石の落下となる。この映像で月に衝突したものは重さ約400kg、サイズは一般家庭の冷蔵庫ほど、破壊力はTNT(トリニトロトルエン)換算で15トンほどと推測され、これまで月面で確認された中では最大級の衝突と言えるそうだ。
地球でも2013年2月15日、ロシアのチェリャビンスク州周辺に強い閃光とともに突然隕石が降り注いだが、その後チェバルクリ湖の湖底から直径50cm~90cm、重さ約600kgという大きな塊が発見されている。アメリカの「バリンジャー隕石孔」やナミビアの「ホバ隕石」も有名だが、いずれのケースも「石」と呼ぶにはあまりにも大きく破壊力は人々の想像を超えるものであった。マディエド教授は「地球はありがたいことに大気に守られていますが、考えられている数の10倍もの小天体がこちらに向かって飛んできていると言えそうです」とまとめている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)