このほど、エチオピア航空の飛行機が副操縦士に乗っ取られるという異例の事件が起きていたが、この際、緊急出動の要請を受けていたスイス空軍が「勤務時間外だから」と出動を渋っていたことが発覚し、物議を醸している。
スイスのジュネーブ国際空港に、現地の17日午前6時頃、200名を超す乗客乗員を乗せたエチオピア航空702便が緊急着陸した。同機はエチオピアの首都アディスアベバからイタリアのローマに向けて飛ぶはずであった。なんと副操縦士が犯人という前代未聞の乗っ取りであったが、この事件ではさらに、出動要請を受けたスイス空軍が出動を拒んでいたことが発覚した。
副操縦士は機長がトイレで席を外したすきにコックピットを占領し、ジュネーブの上空で緊急着陸を求めて亡命の許可を要請。ジュネーブ国際空港は同機を受け入れるために空港の閉鎖を決定し、イタリアとスイスの空軍に対し安全な着陸を誘導するよう戦闘機の出動を要請したが、「隊員らの勤務時間は午前8時からだ」としてスイス空軍はこれを拒否。自国の空港に着陸するというのに人命の安全確保よりも隊員の待遇を優先させたとあって、「軍の使命感はどこに」と物議を醸している。結局イタリア軍から戦闘機が2機出動して誘導にあたり、これを継いだのはフランス軍の戦闘機2機。スイス空軍が戦闘機(画像はYouTubeのスクリーンショット)を出動させることはなかった。
副操縦士はHailemedehin Abera Tagegnという名の31歳のエチオピア人。逮捕後の取り調べに対し、エチオピアを離れたかった理由として「大学で教鞭をとっていた大変親しいおじが数か月前に急死し、自分の命についても危険なものを感じるようになっていた」と話している。有罪判決を受ければ20年間の服役を命じられるものとみられている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)