少年のセンシティブな性格は、からかいの言葉を許さなかった。「あなたってハリー・ポッターにそっくり!」イギリスでこのたび、そんな言葉が原因となって10代の少年が少女2名を刃物で刺す、あるいは殴る蹴るなどして逮捕された。少年は「殺意があった」として全面的に罪を認め、すでに刑務所に入っている。
イギリスの10代の少年にとって、「ハリー・ポッター(=ダニエル・ラドクリフ)に似ている」と言われることは、嬉しいことではなく不愉快なことなのか。このほどハンプシャー州サウサンプトンで、少年が自分の外見についてそうからかって来た少女2名に激怒。ナイフで刺すなどして逮捕された。「サウサンプトン・クラウンコート(裁判所)」での公判により有罪が確定し、4年半の実刑判決を受けてすでに刑務所に入っている。
事件を起こしたのは19歳のライアン・ウォーカー(画像はmirror.co.ukのスクリーンショット)。眼鏡をかけた理知的な雰囲気がハリー・ポッター風と言えなくもないが、髪はこざっぱりと短く酷似しているというほどでもない。そんなウォーカーはこのほど、自分を「ハリーに似ている」と言って笑った少女2名に対し、「死ね!」と叫びながら1人の顔に果物ナイフを突き刺し、もう1人には殴る蹴るの暴行を加えた。被害者はエマ・キーブルさん(15)とリア・ピアースさん(16)。殴られたエマさんは血だらけ、アザだらけの写真をメディアに公開しており、ナイフで刺されたリアさんの傷は深く、刃が折れたことも殺意の激しさを物語っている。
事件当日、ウォーカーが母親に頼まれた買物を済ませてアパートに帰宅したところ、階段に少女たちが座っていた。ウォーカーがその脇を通ると2人は“ハリー・ポッターにそっくり”とクスクス笑い、うち1人がその買い物袋に手を引っ掛けたことからウォーカーは逆上。自宅に帰り牛乳瓶に水を入れて階段に戻り、彼女たちにそれを掛けたが怒りは収まらず、さらに果物ナイフを取りに戻ったのであった。警察の取り調べに対しウォーカーは、「あの時の自分は恐ろしい怪物さながらで、全く抑えがきかなかった。リアさんの顔に大変な傷を負わせ、本当に申し訳ないことをしたと思う」と反省を口にした。
彼の弁護士はその裁判で、「学校では常にイジメられっ子で弱虫と呼ばれて来ただけに、少年の中でつい過剰な自己防衛反応が働いた」と述べたが、ピーター・ラルズ裁判長は、「ウォーカーのした行為は決して許されないものです。少女たちに無礼な態度があったのは事実ですが、そのような暴力を受けるほどのことではありません」と断罪しており、残念ながら公判中にウォーカーに同情する者はいなかったようだ。今回のようなケースをイジメと感じるか、ほんのからかいだと感じるかは、本人の気質や感受性によるところが非常に大きい。近年、デリケートさとキレ易さを併せ持った精神的にアンバランスな少年が増えていると言われるが、この事件もその典型例のような気がしてならない。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)