昨年の12月30日に亡くなったミュージシャン、大瀧詠一さんの思い出をラジオ番組で共演したこともある坂崎幸之助(THE ALFEE)が語った。楽曲だけでなくエンジニアとして音づくりにも才能を発揮した大瀧さんはレコーディングにも並外れたこだわりをもっていた。スタジオミュージシャンにいくら使うのか坂崎が確認したところ「一日に400万円」と大瀧さんから返ってきたという。一体どのようなレコーディングを行えばそういうことになるのか。
ロックバンド・THE ALFEEの坂崎幸之助はFM番組『K’s TRANSMISSION』(NACK5)のパーソナリティーを務めており、大瀧詠一さんもほぼ毎年のように出演していた。2013年の9月20日にも普段どおりにトークした坂崎は訃報を知って信じられなかったそうだ。2月19日放送の音楽バラエティ『1番ソングSHOW』にその坂崎幸之助が出演して「大瀧詠一さんはメディアにあまり出ないんですよ」とラジオ番組でのツーショットを公開している。さらに彼は「大瀧さんにはいろいろな伝説がある」とエピソードを語った。
坂崎幸之助によると、大瀧さんはレコーディングする時に「日本の有名なスタジオミュージシャンを1楽器に対して3~4人呼んだ」という。一般的にはギターに1名、パーカッションに1名、ピアノに1名というようにスタジオミュージシャンを集める。しかし、大瀧さんの場合は1つのパートに3~4名のスタジオミュージシャンを呼ぶのだ。坂崎は「同じことを弾いてもちょっとずつノリが違うので、音に厚みが出る」と大瀧さんの狙いを解説した。
気になった坂崎が大瀧さんに、それだけスタジオミュージシャンを集めてレコーディングするとどれだけ費用がかかるか質問したところ「一日だけで400万円かかる」と答えたそうだ。
今年の1月にラジオで放送された大瀧詠一さんの追悼番組にミュージシャンの大貫妙子が電話出演した。彼女は「良質なポップスが少なくなり大瀧さんのようなこだわりを持ったプロフェッショナルが必要な時代だった、考え抜かれて作られた時代を超えて残っていくメロディや世界観が、今こそ本当に必要だと思っていた」と急逝を惜しんでいた。
彼と同時代に活躍したミュージシャンばかりではない。大瀧詠一さんの音へのこだわりは彼が残した作品を通して若手にも影響を与えるだろう。そして、なにより“大瀧詠一”を愛するファンが彼の音楽を後世に伝えてくれるはずだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)