AKB48の35thシングル『前しか向かねえ』の表題曲はグループを卒業する大島優子がセンターを務める。彼女の今の気持ちを表す楽曲をと秋元康が書いたものだ。大島優子のファンとして知られる漫画家の小林よしのり氏がその『前しか向かねえ』を聴いた時の率直な感想をブログで述べている。AKB48の楽曲を聴き込んでいる彼が、この新曲へ持った第一印象は意外なものだった。
深夜のバラエティトーク番組に出演した小林氏が、AKB48のメンバーは娘や孫のような感覚だと話した時のことだ。共演者から「でもヤリたいという気持ちはあるでしょ?」と追及されて小林氏が「大島優子とならば…」と答えたことが話題となりネットニュースで流れた。その後、AKB48の武道館公演の舞台裏で大島優子とバッタリ顔を合わせた小林氏はさすがに気まずかったそうだ。すると、大島の方から「あの発言は嬉しかったです。AKBの中で私だけを女と見てくれたんだから」と言われて小林氏は救われたという。
その出来事以来、小林氏は大島優子をさらに推すようになった。ところがその彼が『小林よしのりオフィシャルwebサイト「BLOGあのな、教えたろか」』で「『前しか向かねえ』は『リンダリンダ』みたいだと思い、わしの好きな曲調ではない」と明かしている。
彼は「AKB48の新曲は最初に聴いてすぐ良い曲だと思うものと、何回か聴くと段々良くなってくる曲があって、判断が難しい」と『Everyday、カチューシャ』以降のシングル曲を批評しており、『真夏のSounds good!』までの6曲を「立て続けにインパクトがあって、黄金期だった」と称賛した。そこまでの6曲のうち『上からマリコ』以外は前田敦子がセンターを務めている。
大島優子がセンターとなった『ギンガムチェック』について小林氏は「少し迷った」が何度も聴いて好きになったという。その後の『UZA』や『永遠プレッシャー』、『So long!』についても心のこもった解説を加えているが、以前に比べて曲のインパクトに欠けると思ったところに『恋するフォーチュンクッキー』で「一発大逆転、ヒット間違いなしだと思った」と久々に手応えを感じていた。
AKB48の楽曲をそこまで聴き込んでいる小林氏が、大島優子の最後のセンター曲となる『前しか向かねえ』を聴いた感想を「『リンダリンダ』みたいだと思い、わしの好きな曲調ではない」と正直に明かしたのは意外だ。「『ハート・エレキ』の中の『細雪リグレット』の方が良かった」とシングルの収録曲まで持ち出すほど新曲には違和感があったらしい。
2月7日にAKB48が『ミュージックステーション』で『前しか向かねえ』を披露したが、視聴者の感想も様々だ。ツイッターでは「AKB最近そんな好まんかったけど、大島優子最後のセンターの曲意外と好き」といった好評から「MONGOL800の小さな恋の歌に似てるなぁって思った」、「懐かしい曲調だな…青春パンクと呼ばれてたものじゃないか?」といった見方もある。
小林氏が『リンダリンダ』みたいだと感じたのと同様に、視聴者もMONGOL800やロードオブメジャー、175Rなどのイメージを思い浮かべたのだろう。もちろん『前しか向かねえ』がそうした路線を狙って作られたとしても不思議ではない。
ただ、今回の『Mステ』を見た小林よしのり氏は「『前しか向かねえ』も好きになりつつある。大島優子がカッコ良すぎるからだ」と意識の変化を明かしている。彼女のセンターパフォーマンスに惚れ込んだからだ。「『前しか向かねえ』、優子センターだから、意地でも好きになってやる」と宣言した。
小林氏は昨年の12月18日に「AKB48紅白終了後、大島優子とじっくり話した」とブログで伝えている。大島優子が卒業を発表する前のことだ。彼女が主演した映画やドラマの話をした小林氏は「優子は以前ほど弾けてなくて、少し憂いを含んで、迷っているようでもあり、そこがまたわしの心をときめかせる」と僅かな変化を明かしていた。
NHK紅白で大島優子が卒業を発表した時に彼は「はっ!」と思い当たったはずだ。そうした状況を踏まえて「『前しか向かねえ』、優子センターだから、意地でも好きになってやる」と言い切る小林氏の気持ちを思うと感慨深い。
※画像はYouTubeのスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)