エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】V系に新時代は来るのか? 2014年、注目のバンドを記者が独断で選んでみた。

ゴールデンボンバーの大ブレイクや復活したLUNA SEAの活躍など、V系と呼ばれるバンドの活動も多岐に渡る時代だ。実際、メディアではあまり見かけずとも、従来のV系路線を保ちながら活動を続け“ブレイク寸前”の実力派バンドはまだまだいる。今回は、そんな “V系”から、記者が独断でビジュアルとサウンドに納得できるバンドを選んでみた。

一説には“ビジュアル系”(V系)という呼び名は初期のX JAPAN(当時はX)が用いた“PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK”が起源といわれる。そのため、彼らのメイクやヘアスタイルと同時にハードなサウンドを含めて“V系”として定着した。

X JAPAN時代の“V系”をリスペクトしながらもより現代に即したビジュアルやサウンドを追求するV系バンドが各地で勢いをつけているのをご存知だろうか。

骨太のロックテイストと妖艶なビジュアルを保ちながらドロドロし過ぎない絶妙なバランスを持つ、記者イチオシのバンドがLIPHLICH(リフリッチ)である。ステージでは弦楽やブラスセクションも入れるなど、様々な発想でエンターテインメントを追求する。混沌とする今のV系事情にもブレることなくLIPHLICHならではの“V系”を突き進む。

ネットに掲載された「2014年ブレイクしそうなビジュアル系バンド」のランキングでもLIPHLICHは1位に挙げられており、支持の拡がりがうかがえる。

所属事務所に取材を申し込み、快諾を得た。そもそもバンド名のLIPHLICHとはあのロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』に登場するRiff Raff(リフ・ラフ)からつけたものだそう。ボーカルの久我新悟は清春や美輪明宏、吉井和哉、大槻ケンヂといったアーティストを尊敬しながらも音楽面での目標は特に無く、「何もかも出尽くしているような時代の中で、自分達だけのバンドサウンドを確立させていきたい」という信念を持つという。

一方でギターの新井崇之はバンドでのエンターテインメントとしては元X JAPANのhideに強い影響を受けていると語る。サウンド面ではB’zやマイケル・シェンカー・グループのギタリストをリスペクトしており、彼の“渋いサウンドやROCK魂”はそこに根ざしているのだ。

また、ベースの進藤渉はマーカス・ミラーやヴィクター・ウッテンといったベーシストの影響が大きく、実はV系と出会ったのはLIPHLICHが初めて。にもかかわらず今や“網”を自身のビジュアルイメージとしており衣装だけでなく私服も“V系”に徹している。ドラムの丸山英紀もX JAPANとYOSHIKIに影響を受けており、他にもRed Hot Chili Peppers、Led Zeppelin、そしてV系ではPlastic Treeの影響が大きいそうだ。

進藤は先ごろ『Kαinとの2MAN LIVE』でV系のプロデューサーやボーカリストとして有名なYUKIYAと挨拶を交わした際に、LIPHLICHについてビジュアルイメージも楽曲も、かなり特異な存在のバンドだと評価されたという。“かなり特異な存在”とはV系として何より嬉しい表現だろう。

“次世代名古屋系”を目指す若手V系バンド「アルルカン」

もうひとつ、記者が注目する若手V系バンドがアルルカンだ。先のランキングでも3位の評価を受けており、躍進が期待される新人バンドである。こちらも所属事務所に取材を行った。

V系のサブジャンルに“名古屋系”がある。英国のパンク・ロックの影響を受けて、曲の激しさと歌詞の暗い重さや複雑な楽曲構成といった音楽的な特徴を持つバンドを指すもので、初期の黒夢も名古屋系といわれる。

アルルカンは「切なさと激しさの共存をコンセプトにしている」ことから“名古屋系”と通ずるところがあり、これまで影響を受けた様々なニュアンスが混ざり合う“次世代名古屋系”を目指しているという。アルルカンというバンド名の由来も「耳に残る響きと、ピエロという言葉の意味のメランコリーなイメージ」がコンセプトと合うことからつけたものだそうだ。

音楽的にもボーカルの暁(あき)がV系バンド・Janne Da Arcに影響を受けており、ギターの來堵(くると)が黒夢やロックギタリストのトム・モレロに、同じくギターの奈緒(なお)は名古屋出身のロックバンド・lynch.(リンチ)とX JAPANのhideの影響が大きい。

ベースの祥平(しょうへい)は米国のロックバンド・KoЯn(コーン)やDragon AshのベーシストだったIKUZONE(馬場育三)の影響を受けており、ドラムの堕門(たもん)は第4期のSEX MACHINEGUNSや当時ドラムを担当していたJOEをリスペクトしている。

それぞれに個性溢れるサウンドを出すことでバンドとして“次世代名古屋系 混入”を掲げるアルルカン。そのビジュアル面でも“V系”を貫いているところが“名古屋系”を進化させた次世代たる所以だろう。

2014年に入りますます勢いに乗る彼らだが、LIPHLICHが2月2日に赤坂BLITZで主催公演『Uppercut From Geek』を開催する。メンバーも「元々が演出好きだし、アマノジャクな性質のバンドなので、他のバンドじゃ見れないよというライブになる」、「普通のライブはしませんよ」、「視覚、聴覚に訴えかける。LIPHLICH史上に残る日になります」と意欲をみせている。

アルルカンは3月15日に池袋EDGEにてツアーファイナルとなるワンマン公演『slip over the EDGE』の開催が決定しており、チケットは一般発売から即日完売間近の勢いだという。

今年注目のV系バンドたちが、早くも火花を散らしそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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