子どもの通う学校に親がついてくるという話は耳にするが、それは事情があってのことだろう。しかしお笑い界の総本山、よしもとの養成所・NSC(吉本総合芸能学院)にまで親が出てくると聞いては、世の中の常識が変わってきたと思わざるを得ない。ダウンタウンの冠番組で松本人志がNSCの実態を証言したところ、一般の会社やサッカー界でも同様の現象が見られることが分かった。
ダウンタウンの新番組『教訓のススメ』で、「後輩にやる気を出させる為の教訓」についてゲストが体験を話した。自衛隊出身の俳優・今井雅之は「後輩に邪念が見えたら10キロ走らせる」と極端な指導法を明かしている。だが彼も一緒に走るというから、周囲もあまり強くは反論できなかったようだ。
そんな中、元経産官僚で今は慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏が、「官僚時代にはそのやり方をやっていた」と今井のスパルタ指導法に共感した。しかし彼は、「大学でそれをやったら今の若い人には通用しないことが分かった。今井さんのやり方には賛成するが、もしそれをやったら大半がついてこれないし、切り捨てては社会が成り立たない」と問題提起する。
その話に唸っていた松本人志が、「話は変わるかもしれないが」と前置きして「NSCでも最近の若い子は、母親が出て来て『うちの息子はなんでもっと劇場にでられへんの?』と文句を言う」と明かしたのである。すかさず岸氏が「今は普通の会社も親がついてきますよ」と返したので、周囲も「まじで!」と驚いていた。岸氏によると「就職した新入社員が会社を辞める際に本人でなく母親が伝えに出てくる」そうだ。
サッカー界でも似たような状況だという。ラモス瑠偉が「大学生でも親が出てくるから」と呆れたように話すと、武田修宏は「『うちの子はなんで試合に出られないの?』と親が言ってくる」と苦笑した。武田の場合は子どもたちにサッカーを教えることが多いので、「今は『辞めろ!』と言えば本当にみんな辞めちゃう」と語る。「楽しいことをやって、いかに子どもを辞めさせないかが必要だ」という状況なのである。
この日の出演者が偶然そうした環境にいるわけではない。ネットでも「親がついてくる」ことについて悩みを相談する子どもや教師が少なくない。大学入試に親がついて行くのは最早珍しくないようだ。中には「修学旅行について行きたい」という親や、「新婚旅行についていく」と言い出す親もいるという。そうした親にはそれなりの理由があるのかもしれないが、それにしてもNSCや会社といった場面に親が干渉してプラスになるとは思えない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)