10月19日に開催されたライブイベント『GBGB2013』に23年ぶりに再結成したロックバンド・ROGUE(ローグ)が登場した。ボーカルの奥野敦士は事故で頸椎を損傷して半身不随となったが、リハビリを続けた成果でこの日はステージで7曲を力強く歌い上げた。彼から曲を書いてもらったことがあるバービーボーイズ・杏子もこのイベントに出演しており、久々に奥野と再会を果たした。
群馬のグリーンドーム前橋で行われた『GBGB2013 G-Beat Gig Box』にはFLYING KIDSや山下久美子、 真心ブラザース、BOOWYのドラマーとして知られる高橋まことなど他にも多数のアーティストが出演した。同イベントで復活を果たすROGUEにゆかりのあるメンバーたちだ。バービーボーイズで活躍した杏子もその中にいた。
バービーボーイズが解散してソロとなった杏子が1998年7月1日に出した11枚目のシングル『悲しきは…』は彼女が詞を書いて、奥野敦士が曲を提供している。その後、2008年の9月に彼は不慮の転落事故で頸椎を損傷して半身不随となった。バンドROGUEはすでに1990年に解散しており、奥野はソロで活動していた。だが、首から下が動かず車イス生活を送ることになった彼を助けたのはバンド時代の仲間だったのだ。
今回のライブで久しぶりに奥野敦士に会うことができた杏子がその様子を10月27日のラジオ番組『杏子の ANTENNA CAFE』 (FM FUKUOKA)で語った。
奥野敦士と会うのは『悲しきは…』で曲を書いてもらって以来となる彼女は「正直、ドキドキしていた」と明かす。だが、奥野は肩から上が動くまでになっており「ハグするような感じ」で再会を喜んでくれたので、杏子も「おっ、けっこう元気じゃん」と安心した。
半身不随の奥野をバンドのメンバーが核となり、5年間支援してきた。最初は目しか動かなかったが、やがて首が動くようになり、ミニライブくらいはできるまでに回復を見せた。そして、障害者と健常者のバリアフリーを目指し設立された『信誠会』が中心となり、ROGUEが再結成する場としてチャリティーライブ『GBGB2013』が動き出す。ギターの香川誠がゆかりのあるアーティストに呼びかけてそうそうたるメンバーがチャリティーライブの主旨に賛同してくれたのである。
ライブが決定した頃から奥野は、より力強く歌うために背中を押してもらいながら毎日腹筋を100回続けた。杏子はステージで歌う彼を見て「前かがみになってお腹を押さえるようにして力を入れていた」という。彼の努力による力強い歌声に感動していた。
5000~6000人の来場者で熱気に溢れた会場には車イスの観客も100人程度いた。「ジャンプ! ジャンプ!!」、「跳べーっ!」といったノリに杏子は「車イスの人もいるのに…」と抵抗感があったが、奥野敦士が「みんな跳べー!」と叫び、「跳べない人は気持ちを跳ばせばいい」と言ったのを聞いて「ああ、そうなんだ」と思い直した。
彼女は「ハンディキャップのある人と一緒にいることにもっと慣れていないといけないな。変な気を遣っていたな」と気づいたのだ。ライブを通して健常者もハンディキャップを持つ者もみんなが一緒に楽しめることが大切であり、「今回が第1回目だったので『GBGB』が続いて、いろんなところでつながりあえたらいいな」と願っていた。
そんなROGUEは再結成を記念して11月20日にベストアルバム『easy go easy comes+Live at CBGB,NewYork 1989』を発売する。今回のライブでROGUEを見て、杏子は「メンバーが揃っていてうらやましかった」と語っている。彼女は今回、バービーボーイズのいまみちともたか(ギター)、小沼俊明(ドラムス)と組んでバービーボーイズ時代の楽曲を披露しており、バンド時代を思い出したのだろう。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)