EU発!Breaking News

writer : shiina

【EU発!Breaking News】学校側が打ち出した、トイレを清潔に保つための苦肉策。生徒から使用料を徴収。(独)

欧米諸国の学校は日本のように生徒が校舎を掃除するという決まりがなく、清掃作業員によって行われる。そのため校内をきれいに保つという生徒たちの意識は低く、雑然としていることが多い。特にトイレの扱いはぞんざいであることが少なくないのだが、そうした事態を打破しようとドイツ西部の街ボーフムの学校があるシステムを試みた。生徒たちに対して「清潔なトイレを利用する際には使用料を支払う」という決まりが話題となっている。

ボーフムのMaria-Sibylla-Merian総合学校にあるトイレは数年前、12万ユーロ(約1570万円)を投資しリフォーム工事が行われた結果、新しく清潔なトイレに生まれ変わった。

しかし清潔な状態を保つには作業員を雇う必要があり、そうなると賃金を支払わなければならない。それを補うため新しいトイレを利用する生徒は1回ごとに10セントを払い、お金を払えない、あるいは払いたくない生徒はリフォームされていない“普通”のトイレを使用といったシステムが導入されていたと『Die Welt』が伝えている。また今年の新学期からは、新しいトイレを使用したい生徒は年に10ユーロの使用料を支払い、支払いたくない生徒は“普通”のトイレのみの使用といった決まりが予定されていたという。

だがボーフムが属するアルンスベルクの地方行政は、このシステムを停止するよう求めた。2009年にノルトライン=ヴェストファーレン州の教育省が公布した、今回の件と同様の2種類のトイレの設置を禁止する条例を引き合いに出し、「これは学校内に『階級制度』を導入するようなものだ」とその理由を述べている。

結局このシステムは頓挫することになったが、学校側が対策をしなければならないほど問題になっているのだ。学校におけるトイレの問題はドイツの他の州でも論議されている。『n-tv』によれば、ヘッセン州では解決策として生徒自らがトイレットペーパーを持参するというものや、トイレに監視カメラを設置してはどうかといった意見まで挙げられているという。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)