5年ぶりに活動を再開したサザンオールスターズ。今年はデビュー35周年でもあり、桑田佳祐やメンバーも活動再開のタイミングと思い至ったようだ。NHK特集『35周年スペシャル 復活!サザンオールスターズの流儀』では桑田の口から活動再開を決意した理由や、新曲『ピースとハイライト』をメッセージソングとしたことについて語られた。
無期限活動休止宣言から5年。サザンオールスターズが今年、復活したのは「桑田佳祐の体調が良いうちにファンにサザンの歌を届けたい」という思いが強かったからだと言われる。がん闘病を経験した桑田だけに、元気なうちに歌っておきたいと感じたのだろう。
8月9日にNHK総合テレビで放送された『35周年スペシャル 復活!サザンオールスターズの流儀』では、その桑田佳祐がサザン復活を決意したいきさつを明かしている。
桑田佳祐は2010年の7月に食道がんが発覚し、治療のために音楽活動を休止した。だが奇跡的な復活を果たし、12月31日の紅白歌合戦に出演。その翌年、3月11日に東日本大震災が起きた。
8月にシングル『明日へのマーチ/Let’s try again ~kuwata keisuke ver.~/ハダカ DE 音頭 ~祭りだ!! Naked~』をリリースした桑田は、9月10日と11日に宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナで「宮城ライブ ~明日へのマーチ!!~」を開催した。
その時期を前後して、桑田に震災被災者の方々から手紙が届く。多くが「サザンの歌を聴いて励まされ、これからも頑張ります」と伝えると共に、「桑田さんもご病気をされて、大変でしたね。私たちはサザンを待ちますから無理しないでください。いつまでも待っています」という主旨が書かれていた。
桑田はそれを読んで「ありがたいと同時に、奮い立たされる。すごく大きな力になった」と語っている。本来はデビュー40周年を機に活動再開かとも言われていた。それよりも早く、元気なうちにサザンの歌を届けたいという思いを行動に移したのは、ファンからの応援があったからなのだ。
サザンオールスターズが復帰第1弾として出した新曲『ピースとハイライト』。「歴史を照らし合わせて、助け合えたら…」といった日本を取り巻く近隣諸国の問題、あるいは世界で続く紛争をやめようと呼びかけるかのような歌詞が並ぶ。
5年ぶりの復活に華々しくサザンらしい“夏歌”を作らなかったのは何故か。桑田は「ファンも世代を超えて3世代ぐらいになっている」とサザンのファン層が多様化していることから、「今、僕らが発表する曲」について考えたという。彼は「現実をちょっと憂うような、平和的な方向に向かう話題。テーマを差し向けたらどうかな」と思い至ったのだ。「自分たちのメッセージみたいなものが世の中に届くというのが、ポップミュージックの原点だと思うし、あり方だと思う」とも語っている。
サザンオールスターズ特別展示会“「ピースとハイライト」展”が全国で無料開催されている。ある会場で「中学の頃からサザンのファン」だという若い女性に番組がインタビューしたところ、「いろいろな人のことを思いやったり、政治のことも歌ったりして、平和を歌っている桑田さんを見ると凄いなと思います」と目を輝かせて答えた。
番組のライブで歌われた『栄光の男』は、長嶋茂雄選手の引退をモチーフにしたものだ。また、原由子のボーカル曲『人生の散歩道』は「前を向いて歩いて行けば、何か良い発見があるかもしれない」と励ましてくれる楽曲である。復活したサザンオールスターズは、これからも日本に勇気と元気をくれる楽曲を歌ってくれそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)