エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】サザンやももクロの“歴史認識”に関する主張に反響。「戦争対談はアイドルに必要か?」

サザンオールスターズの新曲『ピースとハイライト』の歌詞が、韓国のメディアで「日本政府の歴史教育を批判する歌」と報道された。また、ももいろクローバーZ(ももクロ)が社会学者・古市憲寿氏との対談で、日韓関係について「韓国の言い分も知りたい。歴史のこととか」と発言したことがネットニュースで取り上げられて話題になっている。ネット上では両者について批判的な意見も見られる一方で、共感する者も少なくない。果たしてサザンやももクロは、あえてそのことに触れるべきだったのか。

5年ぶりに活動を再開したサザンオールスターズが、復活第1弾として出したのが『ピースとハイライト』だ。桑田佳祐はサザンのファンが3世代に渡るほど多様化する中で“今、僕らが発表する曲”について「現実をちょっと憂うような、平和的な方向に向かう話題。テーマを差し向けたらどうか」と考えたという。

同曲のPVでは、米国のオバマ大統領や韓国の朴槿惠(パク・クネ)大統領、中国の習近平国家主席に安倍晋三総理のお面をつけた人物も登場する。歌詞には「教科書は現代史をやる前に時間切れ、そこが一番知りたいのに」、「歴史を照らし合わせて助け合えたらいい」といったフレーズが散りばめられており、桑田の言う「平和的な方向に向かう」歌となっているのだ。

この楽曲について韓国のテレビニュースで「日本のサザンオールスターズの“平和と光”(ピースとハイライトのこと)という曲は東アジア情勢問題を扱っており、歌詞には日本政府の歴史教育を正面批判する内容が入っている」と取り上げたことで、日本国内でも大きな反響があった。

主にはネット上で話題となっており、「サザンオールスターズの新シングル『ピースとハイライト』の売り上げが伸びないのは、それが原因だ」と分析する記事も見られた。他にも批判的な書き込みが多いのだが、一方でFacebook『桑田佳祐/サザンオールスターズ』には「この歌詞最高ですね、無益な行為止めましょうよ!」、「この歌を戦争好きの人に聞かせたい」、「深い意味を持ったいい歌詞だなぁ」といった共感するコメントも寄せられている。

また、古市憲寿氏の新刊『誰も戦争を教えてくれなかった』の巻末対談で、ももクロのメンバーが日韓関係について「日本でも、韓国にいいイメージを持たない人もいるように、韓国には韓国の言い分があるはず。韓国の言い分も知りたい。歴史のこととかも含めて」という主旨の発言をしている。他にも太平洋戦争など戦争についての意見も述べており、おりしも同じ時期にその内容がネットで取り上げられた。

その対談についてツイッターで「古市氏との歴史認識対談ですが、アイドルに必要なことですか?」というつぶやきも見られ、ももクロのマネージャーは『momoiroclover(momowgp) ツイッター』で「僕は必要だと思います。そしてある部分だけ拾われてもなんともかんとも…ももクロは今まで表現してきたことが全てです」とつぶやいている。

さらに、この件をツイートで知った民主党衆議院議員津村啓介氏が『津村啓介(Tsumura_Keisuke) ツイッター』で、「違和感はないですが、彼女たちに振る話ではないと思います」とコメント。前述のももクロ発言について「いろいろな立場に配慮しながら、未来志向で若者らしい好感がもてる内容。あえて“嫌韓批判”といった政治的レッテルを張ることに疑問を感じる」という主旨の感想を述べた。

サザンオールスターズはロックバンドであり、社会問題の風刺や政治的抗議などを歌う“プロテストソング”はその魂ともいえるものだ。彼らは『ピースとハイライト』について様々な批判があることも覚悟していただろう。そして、日本を取り巻く情勢が緊迫する中で意を決してメッセージを発信した彼らはやはり偉大だ。

対して、「アイドルは政治的な主張をするべきではない」という風潮を崩すのは難しい。ももクロの対談については賛否があるが、そうした風潮を変えるきっかけとなるかもしれない。その、ももクロはカルチャー誌『QuickJapan』でも、古市氏と“アイドルは「戦争」に対して何ができるのか”をテーマに対談している。

その対談を読んだあるファンが、ツイッターでこうつぶやいている。「『ももクロがいるから、日本を攻めるのをやめようって思われるかもしれない』って戦争についての話、泣いた」、「そういう力があるんだよ、アイドルには、ももクロちゃんには! 『それだけで世界を変える、変わる』んだよ」と。

アイドルはプロテストソングを歌ったり、政治的な主張を繰り返したりせずとも、もっと大きな力で世の中を平和にできるかもしれない。ももクロの言葉と、それに共感できるファンの存在からそんな可能性が感じられた。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)