NHK総合で放送中のアニメ『団地ともお』の人気がじわじわと上昇しているようだ。原作は10年前から連載中の人気漫画だが、今年の4月からアニメ放送が始まった。放送開始当初は、昭和の団地生活を切り取ったような世界観にネット上でも「ついていけない」、「今の小学生が共有できる感覚じゃない」などの意見が目立ったものだ。ところが回を重ねると、原作を知る者が「アニメになっていたとは!」と気づいたり、「なんかわからないけどいい」という反応も増えてきた。中には「ちびっこがみんなで『団地ともお』見てた」という報告もあり、小さな子どもにも人気が出ているようである。大人から子どもまでがハマってしまう『団地ともお』の魅力は、どこにあるのだろうか。
漫画家・小田扉氏による『団地ともお』は、2003年から漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載されている。昨今の団地ブームを受けてか、アニメ『団地ともお』として今年の4月6日から放送を開始した。当初は原作ファンから、CGアニメであの世界観は出せないという意見も聞かれた。マンモス団地を舞台に子どもたちは公園を走り回り、草野球やサッカーボール蹴りで遊ぶ。テレビゲームではなくコンビニ前に設置されたゲーム機にコインを投入して楽しむのが主流だ。そんなともおと仲間の暮らしぶりには、昭和時代の空気が漂う。
視聴者がツイッターでつぶやいた「私の世代には懐かしいけど、今はこんな単純で分かりやすい子どもいないよね」という表現は、30代~40代の多くが共感するところだろう。そうした大人は「今日の『団地ともお』ほっこりした」、「深い」、「切なイイ…」、「微笑ましい」といった感想を持つようだ。それは今の自分や周囲の環境には無い、ピュアな世界に郷愁を覚えるからではないか。
それでは、主人公である木下友夫と同じ小学生や、少し下の幼児がアニメ『団地ともお』を見たらどう思うのか。ある人の「ちびっこが来てみんなで『団地ともお』見てた」というつぶやきでは、幼児2人が真剣に『団地ともお』に見入っている写真が掲載されていた。他にも「ちびは『団地ともお』が好きみたい」、「うちも、みんな大好きです」といったつぶやきも見受けられ、子どもも『団地ともお』にハマっているらしいのだ。彼らにとっては新鮮で刺激的に映ったに違いない。
大人でも感じ方は様々である。「おもしろい」という感想が多いのはもちろんだが、「見たら自分まで呑気になってる。アカン」、「『団地ともお』見て泣きそうになるとは」、「癒されます」、「見ると心があらわれる」といった意見もあった。一方で「途中から飽きてしまった」、「1話を最後まで見ましたが、無理でした」、「こういうのが好きな人にはお勧めできるが、いかんせんこの手のアニメが嫌い」という反応もあり、受け止め方も人それぞれだ。
ちなみにアニメ『団地ともお』は、1話毎にテーマが違い全く違う印象を受ける時もあるので、これから見る方は何話か続けることをおすすめしたい。いずれにしろ現状では「『団地ともお』がプチブーム」、「『団地ともお』は見逃せない」と好評なだけに、さらに人気が上昇しそうな勢いである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)