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writer : maki

【エンタがビタミン♪】「ニコール・キッドマンも泣いた」。カンヌから帰国した是枝監督が『そして父になる』の反響を報告。

第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査委員賞を受賞した映画『そして父になる』の是枝裕和監督が、帰国会見を行った。監督はカンヌのパーティーで直接、数人の審査員と話すことができたという。スティーブン・スピルバーグやニコール・キッドマンからも感想を聞くことができ、「作品を誉めていただけるのは大変光栄」と感無量の様子で語った。

5月28日に成田空港で会見した是枝監督は「朝早くからこんなに大勢の方にお集まりいただきありがとうございます」と切り出すと、「帰国早々、空港の通路にカメラマンの方がいらっしゃったので、こういうことだなと実感しております」と笑顔を見せた。

カンヌではパーティーで審査員から感想を聞きたいと望んでいた監督は、限られた時間の中で数人と会話できたという。その中で、スティーブン・スピルバーグが『そして父になる』について「映画祭の期間中、なにかしらの賞から外そうと思ったことは無かった」と言ってくれたことや、作品を観て泣いたというニコール・キッドマンが「心に届く話、女優2人が特に素晴らしかった」と話してくれたことを伝えた。

また、授賞式では『天注定(A Touch of Sin)』で脚本賞を受賞した賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督や審査員を務めた中国人気女優のチャン・ツィイーらと「アジアンパワーだなんて言って笑いあってました」と舞台裏を明かしながら、「そういうのが映画祭で味わえる嬉しい瞬間ですね」、「日本映画への注目が集まるのももちろん嬉しいですが、(映画祭への参加は)もっと広く映画に包まれていると感じることができて嬉しいです」と語った。

『そして父になる』は「6年間育てた息子は、他人の子でした…」のコピーが表すように、血縁だけが家族を繋ぐのかを問うた作品だ。監督はカンヌ映画祭で取材してきた記者たちが自分のことを話したがる姿を、「海外の人たちのほうが、血縁でない子どもを育てるという機会に接することが多い」、「作品を観ているうちに、自分のことや身近な出来事を投影している」と理解した。それが『そして父になる』の上映終了後におよそ10分間に渡り鳴り続いたスタンディングオベーションの一因なのかと思い当たったそうだ。

今後について尋ねられた監督は「オファーは殺到していないです」と笑うと、「構想は常に5、6本同時に走らせている」と来年から次の作品について具体的に考えたいと語った。

主演した福山雅治が「皆さんとお祝いしたい」とコメントした件について、監督にもカンヌを発つ前にメールが届いたので「忙しいなかコメントありがとう」と返信したという。監督も「彼のドラマが落ち着いたら皆で祝いたいと思います」と実現する方向で考えているようだ。

その福山については「彼が今まで見せたことの無い表情、彼の魅力をどうやって引き出そうということが刺激になりました。今回の取り組みは僕にとっても彼にとっても新鮮だったと思うし、僕自身楽しかったです」と話しており、今後の作品で彼を起用することも期待できるのではないだろうか。

■『そして父になる』
10月5日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー
(C)2013『そして父になる』製作委員会
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)