セルビアの首都ベオグラード近郊の村で9日早朝、60歳の退役軍人が自分の家族そして近所の住人を無差別に襲撃する事件が発生した。13人が殺害されたこの事件について地元の警察署長は、捜査に携わった中で最もひどい殺人事件の1つであると話している。
『The Independent』紙によると、首都ベオグラードから約50キロメートル南に位置するVelika Ivanca村に住むこの男は自宅で家族に向けて銃を乱射後、村内の5軒の家で住人を次々と襲撃した。これにより男の母親と息子を含む、男性6人、女性6人そして2歳の男の子1人の合計13人が殺害され、彼の妻を含めた2人が重傷を負った。
男は警察が現場に駆けつけた際、自分の頭を撃ち自殺を試みたものの失敗、現在は重傷の妻とともにベオグラードの病院で治療中だ。しかし当時の状況から、もしパトカーのサイレンを男が聞かなかったのならば、さらに大勢の人が犠牲になっていたかもしれないと関係者は語る。
なぜ男がこのような事件を起こすに至ったのか。男は1991年に始まったユーゴスラビア紛争の際、セルビアとクロアチアの国境付近で戦闘に参加していた退役軍人であるため、それによる精神的問題を抱えていたことが原因ではないかと初めは推測されていた。だがそうした報告はされておらず、また犯罪歴もなかったため、犯行動機は全くもって明らかとなっていない。
近所の住人たちも、男が犯行に至る動機が何であったのか全く心当たりがないという。男の自宅付近に暮らす女性は、普段はもの静かで親切な人であり、また事件発生前、今回のような襲撃を起こす兆候を男から感じることは全くなかったと話している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)