オーストリアの有名な温泉地バート・ガスタインのホテルで、58歳の男性従業員がエレベーターの中に4日間も閉じ込められてしまった。彼はその間何かを食べることも飲むこともできずにいたものの無事に救出され、現在では健康上の問題も確認されていない。

『NEWS.AT』によると15日午前7時頃、この男性従業員はホテルの5階からエレベーターに乗り1階に向かった。だがエレベーターが本来着くはずの場所から40センチほど沈降した所で止まったため、ドアが開かなくなってしまった。

当時このホテルは休業していたため館内に人がおらず、さらに運の悪いことに男性は携帯電話を自分のオフィスに置いたままにしていたため、外と連絡を取る方法が全くない状態であった。

その後男性は、エレベーターの天井板を取り外し閉まったままのドアを壊そうとして脱出を試みた。しかし上手く行かず、また彼の助けを求める叫び声も誰の耳に届くことなく、時間は過ぎ去っていった。

事故発生から4日後の19日、このホテルにパンを卸している関係で合鍵を所有している販売業者が、ホテル宛の郵便物がドアの前に溜まっていることに気が付いた。ホテル内に入りレセプションに置こうとしたところ、どこからか叫び声が聞こえてきたために消防隊員に通報したのだ。これがきっかけとなり、男性は無事エレベーターから救出された。

救出時の男性の状態について警察は、4日間飲まず食わずであったにもかかわらず非常に元気であり、またパニックに陥ることもなく落ち着いていたと話している。また男性自身もコメントを残しており、この事故による健康上の支障はないものの、エレベーターの中に長時間座り続けていたため、臀部に少し痛みを感じているとのことだ。
（TechinsightJapan編集部　椎名智深）