ロシア、ウラル地方の都市チェリャビンスクに隕石が落下し、約1200名が負傷したというニュースは世界中に衝撃を与えている。インターネット上には隕石落下の瞬間の動画が多数アップされており、それにより当時の様子を詳しく知ることができる。だが、何故このように沢山の人々が落下する瞬間を撮影することができたのか? その多くは車載カメラによって撮影されたものであるが、そこにはロシアの交通事情における問題が影響していた。
ロシアの交通事情は非常に悪く、昨年だけでも約20万件の交通事故が発生し、その死亡者は約2万8000人にも上る。この原因は様々であるが、飲酒運転の多さや、特に高級車や大型車に多い猛スピードでの運転といった交通規則の無視、そしてタイヤの跡や穴が多く残る整備されないままの道路や、交通標識や街灯の不足といった国側の交通整備に対する怠慢などが挙げられる。
またロシアでは警察官のモラルの低さも問題となっている。事故が発生した際に何かしら理由をつけ賄賂を強要される場合もあり、被害者どころか加害者にとっても当てになる存在ではないのだという。
こうした事情から、ロシアで車を運転する人の多くは車載カメラを搭載し24時間休むことなく作動させておくのが一般的であると、ドイツの日刊紙『Welt』は報じている。万が一事故や事件に巻き込まれた時も、当時のフィルムを証拠として裁判所に提出できるため、カメラは一種の保険のようなものになっているそうだ。
同紙によると、隕石が落下する様子が撮影された動画は数千件にも及んでいるが、これは現在までに発生した宇宙に関する事件の記録としては、偶然とはいえ最も多いものではないかということだ。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)