女優の平愛梨(28)は映画『20世紀少年』のヒロイン役を射止めるまで、長い下積み期間があったことは意外と知られていない。それは現在の彼女が、美しさを鼻にかけず明るく素直で相当天然な性格であるところから、売れない時代があったようには見えないからかもしれない。
映画『20世紀少年』のヒロイン・カンナは3000人が参加したオーディションで、自らの実力で平が手に入れた役であった。この時、彼女が14歳でデビューしてからすでに9年の時が経っていた。このオーディションに受からなければ、彼女は女優を目指すことを諦めると決めていたという。三部作となるこの映画の撮影期間は、1年という長丁場。おそらく平はこの映画で結果を出し、実力派女優への第一歩としたかったはずである。
1月1日放送の『~感動の神対応バラエティ~おお!Myゴッド』で、平はこの映画の主人公を演じていた唐沢寿明(49)との感動エピソードを明かしてくれた。
それは最終章のラストシーン。15年ぶりに唐沢演じるとケンヂと再会するシーンはこの映画最後の見せ場であり、平にとっても女優としての運命を握るような大切な場面であった。だがここで彼女は、思わぬピンチに陥ってしまった。気持ちが入りすぎてしまった彼女は、リハーサルの前段階から大泣きしていた。そしていざ本番に入ると、なんと一滴の涙も出てこなくなってしまったというのだ。
監督からはラストで平の顔がアップになった時、「一滴でいいから本物の涙を流して欲しい」と指示されていた。だがどんなに気持ちが高ぶろうとも、彼女の目から涙は出てこなかったのである。何度挑戦しても、本番で泣くことができない。そして何度目かの本番で唐沢に抱きついた時、平の耳元で唐沢がこう囁いた。
「スターになれよ」。この言葉で、平は心から泣けたのだ。それは長い下積みを経験しやっと大役を手にして演じきった新人女優「平愛梨」へ、先輩俳優からの温かい励ましの言葉であった。
映画『20世紀少年』ではスタッフからも、“女優としての成功”を期待され送り出されたという平。彼女自身も長丁場の撮影を無事に終え、これから演技者としてキャリアを積んで行くことを誓っていた。それなのに…。
「誰もが予想せず、バラエティに沢山出ている」と平は苦笑いする。彼女の男女問わず好かれるキャラクターが逆に、女優の仕事を減らしているのだろうか。いや表現者として、色々な世界にふれることはマイナスでは無いだろう。バラエティの仕事も、“女優の肥やし”となることを願っている。
(TechinsightJapan編集部 みやび)