音楽の祭典『ミュージックステーション スーパーライブ2012』が12月21日に生放送された。4時間超にわたるライブで様々なアーティストが披露するなか、新世代のロックバンドとして登場したのが“SEKAI NO OWARI”と“凛として時雨”だ。特に“凛として時雨”は今回が地上波初登場でもあり、彼らの特徴あるサウンドがテレビからどのように聴こえるのかファンも注目していた。
“凛として時雨”(略称、時雨)はボーカル・ギターのTK(ティーケー)、ベース・ボーカルの345(みよこ)、ドラムのピエール中野による3ピースバンドだ。それぞれの研ぎ澄まされたサウンドと男女のボーカルが絡まる、迫力あるパフォーマンスは時雨ならではのもので、彼らが“孤高のバンド”と呼ばれる所以だろう。
千葉・幕張メッセで行われた『ミュージックステーション スーパーライブ2012』のステージに彼らが登場すると、プロフィールが紹介された後に「今日が地上波初登場ということですが、なぜ出られたのですか?」と竹内アナが質問した。TKは落ち着いて「こういう音楽がそろそろ流れてきてもおもしろいかなって思って…」とその理由を語ったのだ。
今回のテレビ出演に際して、TKはおじいさんから「頑張って」とメールをもらい彼自身も驚いたという。「おじいさんは『刺激が強すぎる』とまだライブには行ったことがないそうです」と竹内アナからエピソードが紹介されると、タモリも笑っていた。
彼らが演奏したのは、テレビアニメ「PSYCHO-PASS」の主題曲でもある「abnormalize」(アブノーマライズ)だ。TKの甲高く叫ぶようなボーカルはライブならではの迫力に満ちていたが、345(みよこ)とのバランスが悪かった印象を受けた。
そんな、彼らのステージを見た視聴者の間で賛否の声が飛び交っている。ネット上では「こういうバンドもテレビでもっと見れるといい」、「良かった。上手くてびっくり」、「音の作り方が良い」など好意的な意見が見受けられる。一方では、「声が気持ち悪過ぎた」、「曲はいいんだけどメインじゃない方の歌が酷い」と特徴的なボーカルが受け入れられない者もいるが、「何回も聴いていると癖になる」という意見もあった。
熱心な時雨ファンは、複雑な心境を綴っている。「ポップなバンドならばともかく…時雨みたいなオルタナバンド(オルタナティヴ・ロックバンド)は100%しらけます。時雨がそんな晒し者になってほしくない」と胸を痛める者もいる。型にはまらないロックを追求するバンドにとって、制約が多いテレビ出演は諸刃の剣だろう。知名度は上がるが、イメージが崩れる可能性もあるのだ。
“凛として時雨”自身が今回の出演をどう評価しているのかは分からないが、視聴者から様々な反響があったことはTKの「こういう音楽がそろそろ流れてきてもおもしろい…」という狙いどおりとなったのではないか。彼らがこれからもテレビ出演を続けるのか、今後の活動に注目したい。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)