歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが5日、急性呼吸窮迫症候群のため東京都内の病院で亡くなった。57歳だった。勘三郎さんと家族ぐるみで親交があった女優の大竹しのぶが、今の胸のうちを明かした。
6日放送の『大竹しのぶのオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)で、メインパーソナリティを務める大竹しのぶが中村勘三郎さんについて語った。
勘三郎さんとは19歳の時からの友達で、家族ぐるみのお付き合いがあったという大竹。いたずら好きだった勘三郎さんが亡くなったという実感はなく、「冗談だよ、大竹」と言って起きてくる感じだと気持ちを明かす。
7月27日に食道がんの手術をし、その後重い肺炎を患い呼吸器専門の病院に二度も転院した勘三郎さん。4か月間の闘病生活は、肉体的も精神的にも大変なものだったという。しかし、普通ならへこたれてしまうようなことでも勘三郎さんは「生きていたい」という強い意志で最期まで諦めることなく、まさに“癌晴っていた”のだ。
ある時、大竹が懸命な治療をしてくれている医師に感謝の意を述べると、「こんな人は見たことない」と勘三郎さんの生きる力に「逆に励まされています。なんとかしてあげたい」と涙ながらに返答されたそうだ。多くの医師や看護師が、逆に彼に励まされながら治療に当たっていたのだ。
普段から携わる全ての人に愛され、医師や看護師にまで愛された勘三郎さん。大竹は、「あんな素敵な人には二度と会えない。これからも会えない」と声を詰まらせた。
さらに大竹は、勘三郎さんが残した“役者”としての功績について話す。「同じ時代を生きていたのに彼の舞台を観たことがない人には、『本当に残念でした』と言わざるを得ない」という大竹。お客様に対する愛情、芝居に対する愛情と彼のエネルギーとが反応し、その燃焼する姿を目の当たりにして涙を流さない、感動しない人はいないと熱弁した。
大竹には、これから演劇界はどうなって行くんだろうといった心配があるという。今後、勘三郎さんには「“演劇の神様”として見守っていてほしい」と訴え、そして最後に「また哲明さん(本名)に会える時まで、私もお芝居をしていきたい」と胸のうちをこぼした。
生まれも育ちも根っからの歌舞伎役者だった勘三郎さん。57歳という短い人生であったが、その人生の最初から最期まで目一杯多くの人々を魅了し続けた。ご冥福を心よりお祈り致します。
(TechinsightJapan編集部 佐々木直まる)