知人の女性を絞殺し、その遺体を手押し車に乗せ街中を歩き回るという奇妙な行動を起こした45歳の男に対する裁判が10日に行われた。男には刑事責任能力の有無が問われていたものの、結果的に懲役10年6か月の判決が言い渡されることとなった。
今年4月、ヴュルツブルクの自宅で男と女性の間に諍いが発生、男は女性の首を絞め殺害した。だが、その後男は奇妙な行動に出た。男は女性の遺体を手押し車に乗せ、夜中にヴュルツブルク東部ハイディングスフェルトの街中を歩き回った。さらに遺体を自分の所持する畑の一角に埋めたが、間もなく事件は発覚し男は逮捕された。
『Süddeutsche Zeitung』の報道によると、裁判で焦点となっていたのは男が殺人の際に刑事責任能力を有していたかどうかであった。男には軽度の知的障害が認められると事件後に鑑定医によって証明されたものの、殺害の際に被害者が騒ぎ出さないよう考慮し時間をかけ首を絞めたことが明らかとなっている。また遺体を自分の畑に埋めたことも、遺体を隠す目的であったとされているため、男には明確な殺人の意図があり、また状況を把握する能力も有していたと判断された。手押し車に遺体を乗せ街を歩き回るという奇妙な行動に対する説明として、女性に外の空気を吸わせてあげたかったからだと男は説明しているが、これついて裁判官は自分の犯した罪を認めたくないがための行動であったという判断を下している。
こうした背景があるものの男が早期に自分の罪を認めたこと、そして自分の行為を後悔している様子が確認されているため、検察側の実刑12年の求刑に対し、それより少し短い10年半の実刑判決が下されることとなった。この判決に対し、被告人の弁護士は控訴する構えを見せている。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)