スペインで今から23年前に美容整形手術を受けたものの、医療ミスによって昏睡状態に陥った男性が最近になって息を引き取った。
英紙『デイリー・テレグラフ』の報道によると、1989年、当時21歳の大学生であったAntonioさんは鼻の形を変えるためマドリードにある美容整形外科で整形手術を受けたのだが、意識不明の状態に陥ってしまった。
Antonioさんの両親は、この原因は手術に携わった麻酔医の過失によるものであるとして、美容整形外科に対する訴えをマドリードの裁判所に起こしている。これにより美容整形外科側は第一審では有罪判決を受けたものの、第二審では無罪判決が下された。
両親は2009年に、訴訟費用40万ユーロ(約4100万円)が支払えず司法当局に住居を差し押さえられるという出来事に見舞われたものの、それに反対するためマドリード中心部の広場にテントを張り、抗議活動を行っていた。
活動が功を奏したのか、その後当時医学生であり手術に立ちあっていた人物から新たな証言を得たことで、2010年11月に最高裁判所における裁判が再開。翌年7月、美容整形外科は両親に慰謝料107万5000ユーロ(約1億1000万円)の支払いを命じる判決が言い渡された。Antonioさんの母親は裁判終結後、「これは決して私が望んでいる形での解決ではないが、私にはこれ以上の裁判を続けることがもうできないのです」と話している。
この間Antonioさんは昏睡状態に陥ったままであったが、家族による看病も虚しく23年後の今年10月28日に死亡が確認された。彼の死後、両親の弁護士は「Antonioさんは医療ミスの犠牲者でした」というコメントを発表しており、また同時に今回の裁判において、最終的な判決が出るまでの時間があまりにも長くかかりすぎたことについて強く非難している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)